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君の分身になるのはこんな連中だ 作成済みキャラクター紹介

文:塚田与志也、監修:D&D日本語版翻訳チーム


 『シャドウフェル城の影』には、すぐにゲームを遊べる作成済みのキャラクターのデータが5人ぶん載っている。個々の説明に入る前に、まずは役割分担の話をしておこう。
 D&Dの各クラスには、4種類の役割のいずれかが割り振られている:防衛役は敵を食い止めて釘付けにし、制御役は集団をまとめて攻撃しつつ弱体化させ、撃破役が1体ずつ仕留める。指揮役は仲間たちの能力を向上させ、傷ついた者を癒す。
 それぞれのクラスはその役割に従って行動した時に一番活躍できるようデザインされているので、戦闘中は常に自分の役割を念頭においておくとよいだろう。また、D&D4版のキャラクターたちは単独でもかなり強く見えるが、パーティ内での自分の役割を果たし、相互に協力し合うことによって、パーティ全体としての能力は個々の単なる合計よりもはるかに増大する。そのためには、できれば他のプレイヤーのキャラクターにどんなことができるのかも多少は知っておいた方がよい。
 クラスの役割という概念は、プレイヤーが4人しかいない場合はまず2人いる防衛役のうちのどちらかを外す、というようにパーティー全体のバランスをとる上でも役に立つ(プレイヤーの人数がアドベンチャーの想定よりも少ない場合、DMが敵の数を減らすなどの調整ももちろん必要である)。



 ドワーフ・ファイターは防衛役だが、盾を持たずに両手武器を使っているため、防御力(AC)はあまり高くない。そのぶん攻撃力はかなり高くなっており、1日1回の必殺技“ブルート・ストライク”を使ったときのダメージはものすごい。戦闘中は敵群の中に飛び込むのではなく、一番強い敵の攻撃を自分に引き付けつつローグと2人で挟撃し、すばやく脅威を排除するようにしたい。“ファイターの標的”は説明が長くてややこしいが、ファイターの防衛役たるゆえんの能力なので熟読しておくこと。無限回パワーのクリーヴは雑魚をまとめてすばやく片付けるのに、リーピング・ストライクは防御の固い敵に確実にダメージを与えるのに向いている。遭遇毎パワーのスピニング・スウィープで敵を転ばせると、起き上がるまで移動できなくなるだけでなく、その敵への攻撃にボーナスがつく。使わずに戦闘を終えてしまうのはもったいないので、好機を見つけたらすかさず使ってしまおう。ブルート・ストライクは外れたら使わなかったことになるという親切な技なので、こちらも惜しまず使ってよい。
 なお、モールという武器はダメージが大きい代わりに命中率は低めなので、遭遇毎や一日毎のパワーを使う際には挟撃で戦術的優位を得るなどして、少しでも命中率を上げるようにしたい。勢いこんで使った必殺技が外れると、プレイヤーの集中力も切れやすいのだ。同様の理由により、攻撃ボーナスが高くないこのキャラクターに《強打》という特技はあまり向いていない。一方、このキャラクターは重い鎧を着てはいるものの運動能力は決して低くない。ちょっとした裂け目や壁などが邪魔になった時は、DMに「これを乗り越える際の〈運動〉難易度はどれくらい?」と聞いてみて、簡単そうなら挑戦してみよう。



 ハーフリング・ローグは撃破役だ。戦術的優位を得ての急所攻撃は命中・ダメージともにパーティ内最強だが、急所攻撃が成立しないとダメージは大幅に下がってしまう。戦術的優位を得る一番簡単な方法は敵を挟撃することであり、このキャラクターは通常のACこそあまり高くないものの、機会攻撃に対してはACが+5されるため、恐れずに敵の側面を回りこんで挟撃しよう。一方で、敵たちは一番攻撃力の高い君を優先して狙ってくる可能性が高い。君は決して打たれ強くはないのだから、敵の攻撃が集中する場所に留まろうものならあっという間にステュクス河(D&D世界における“三途の川”)を渡ることになる。無限回パワーのデフト・ストライクは、移動・攻撃・移動という一撃離脱戦術を始めとして、さまざまな機動戦術を可能にする。移動の必要がない時は単純にダメージの大きいスライ・フラーリッシュを使えばよい。遭遇毎パワーのポジショニング・ストライクと一日毎パワーのトリック・ストライクは共に敵を強制的に移動させるものであり、プレイヤーの機転しだいで使い道には事欠かないはずだ。高低差のある地形や水場の近くなどでは特に役立つだろう。後者のパワーはACではなく意志防御値に対して攻撃ロールを行なうため、他の攻撃よりも命中しやすいという点も重要だ。
 さて、ローグの長所の1つは技能の豊富さだ。〈軽業〉が+11もあれば多少の足場の悪さは無視できるだろうが、君に通れる場所を味方も通れるとは限らないため、孤立してしまわないよう注意が必要だろう。〈隠密〉も得意だが、先行偵察の際には同じく味方から孤立する危険性を考慮すること。〈盗賊〉技能は鍵や罠に関する作業以外にも色々とできることがあるので、手先の器用さで何とかできそうなことを思いついたらDMに尋ねてみよう。



 ヒューマン・ウィザードは制御役だが、このパーティには遠隔攻撃を得意とするキャラクターが少ないため(かつ敵にペナルティを与えるパワーを使うと戦闘が複雑になりやすく、初心者には不向きなため)、このキャラクターには複数の敵にまとめてダメージを与えるパワーが揃っている。このゲームでは敵の数が10体以上ということも珍しくないため、対集団攻撃はとても重要だ。以前の版に比べれば頑丈になったとはいえ、ウィザードがパーティ内で一番打たれ弱いことに変りはないので、戦闘中は仲間にかばってもらいながらできるだけ多くの敵を巻き込める位置めがけて範囲呪文を連射するのがよいだろう。無限回パワーのスコーチング・バーストは敵全体に与えるダメージの合計こそ多いが、たくさんの敵に少しずつダメージを与えるよりも1体の敵を無力化(たとえば、レイ・オヴ・フロストで敵前衛の足を止めれば事実上1ターン無力化できる)した方がよい場合も多いのでよく考えること。遭遇毎パワーのバーニング・ハンズは近接範囲攻撃であり、仲間を巻き込まずに使うのが難しい上に、下手に前線に近づくと自分の身を危険に晒す事になるが、それでもなお範囲の広さとダメージの量はすばらしい。一日毎パワーを毎日選べるのはウィザードの特権だが、アシッド・アローの継続的ダメージは煩雑なわりに効果が低いので、迷ったときはスリープをお勧めする。
 特技の《怒涛のアクション》は複数回の攻撃ロールを行なうパワーと非常に相性がよいので、遭遇毎や一日毎のパワーを使う際には惜しまずアクション・ポイントを併用するとよい。このキャラクターが修得している技能のほとんどは知識系であり、DMとアドベンチャーの指示に従っているだけでも判定の機会は多い。それ以外にも、プレイヤーの頭脳では判断が付かない事態に出会ったら「このキャラクターはこういう事を知っているんじゃないかな」とDMに聞いてみよう。



 ハーフエルフ・クレリックは指揮役だ。君の一番大事な仕事は味方のhpを回復することだが、君の攻撃のほとんどは敵に命中するたびに味方に何らかの恩恵を与えることができるため、攻撃と支援とを同時に行なうことができるのも強みだ。君の打たれ強さは本職の前衛にはやや劣るが、君のすべてのパワーの射程は5マス以下なので、敵から遠ざかりすぎるのもよくない。基本的にはファイターやパラディンの少し後ろに陣取るようにするとよいだろう。通常時は、防御の固い敵にはランス・オヴ・フェイス、攻撃力の高い敵にはセイクリッド・フレイムと使い分ければよい。そして、機を見計らって前線に近づき、ヒーリング・ストライクやビーコン・オヴ・ホープを使おう。ターン・アンデッドは有効な相手こそ限られるものの威力はすごいので、アンデッドの集団にはある程度の危険を覚悟して突っ込んでもよい。
 技能の中では〈治療〉が特に重要だ。この技能の使い方が仲間の生死を分けることもあるので、ルールブックの技能の説明も熟読しておくこと。対人系技能は君の得意とするところだが、種族特徴の“集団交渉術”も忘れないようにしよう。君がうまいこと話をまとめようとしているのに、仲間の失言のせいで交渉が決裂してしまっては元も子もないのだから。



 ドラゴンボーン・パラディンは防衛役だが、その能力はドワーフ・ファイターとはかなり異なっている。板金鎧と大盾を装備した君のACは20もあり、パーティ内でダントツの高さだ。普段のダメージはやや低いように見えるかもしれないが、ドラゴン・ブレスによる範囲攻撃や基本的な命中率の高さ、ディヴァイン・チャレンジ(説明が長くてややこしいが、きちんと読んでおくこと)による自動ダメージなどを考えると、総合的な攻撃力はかなり高い。君の戦闘力は隣接する敵が多いほど、またhpが減るほど高くなるので、戦闘が始まったら躊躇なく敵が密集しているところへ突っ込むこと。無限回パワーのヴァリアント・ストライクは命中率の高さがとにかく美味しいので、ふだんはこちらを使うべきだ。敵モンスターの中には[光輝]ダメージに弱かったり通常の武器攻撃が効きにくかったりするものもいるので、ホーリィ・ストライクも充分に役に立つ。遭遇毎パワーのレイディアント・スマイトは単にダメージが大きいだけなので、使いどころをあれこれ悩まずにとっとと使ってしまおう。一日毎パワーのパラディンズ・ジャッジメントはダメージの大きさに目を惹かれがちだが、離れた味方のhpを攻撃がミスしても回復できる点にこそ真価がある。hpが大きく減っている味方がいないなら無理に使わない方がよいだろう。レイ・オン・ハンズも1日に1回しか使えないので、本当に必要な時まで温存しておいた方がよい。一方、ドラゴン・ブレスはダメージが低く雑魚以外にはあまり有用でないし、ディヴァイン・ストレンクスはそもそも使うのを忘れがちなので、この2つは惜しまず使ってしまってよいだろう。技能に関しては、敵を降伏させて捕虜に取りたくなった時のために、自分が〈威圧〉を得意としていることだけは覚えておこう。



※書籍版では、作成済みキャラクターのうち何人かのパワーのいくつかが、スペースの都合で省略されていたり、特技が入れ替えられていたりする。それらのデータは、ダウンロードできるキャラクターシートにおいて最新版に反映済みである。


さらに新しいキャラクターが!

 ダウンロード版のクイックスタートルールには、以上の5人に加えてティーフリング・ウォーロードという作成済みキャラクターのキャラクター・シートが追加されている。ティーフリングという種族の詳細については『プレイヤーズ・ハンドブック』に譲るとして、ここではこのPCにできることを説明しておこう。ウォーロードというクラスの役割はクレリックと同じ指揮役だ。彼らは前線に立って武器を振るいつつ、的確な指示を飛ばしたり激励したりして仲間たちを助ける。このゲームのヒット・ポイントは体の丈夫さだけでなくやる気などの精神的なものも表しているため、ウォーロードはこれによって味方のhpを回復できるのだ。回復以外にも、味方を移動させたり自動的にボーナスを与えたりといった支援的な能力がそろっており、本人の攻撃力も決して低くはない。回復係や支援係は嫌いではないが、ありきたりなクレリックはつまらないという人は、ぜひ試してみてほしい。