ダンジョンズ&ドラゴンズ トップページへ
D&Dトップ
フォーゴトン・レルム
D&Dミニチュア

エベロン対応アドベンチャー・シナリオ『失われし王冠を求めて』紹介記事

文:岡和田晃

1.エベロン世界とは?


13の竜が投じられた大釜は煮え立ち、やがて一片の骨をめぐって相争う5匹の野獣のうちの1匹が、荒廃の化身となる。
荒廃は野火や疫病のごとく広がり、エベロンに刻まれた傷痕は“戦場”が13度現れるまで消えない。
生命いのち は止み、 あめが下を灰が覆う。

――「竜の予言」より――


『失われし王冠を求めて』、いよいよ発売!

 いよいよ、待ちに待った『失われし王冠を求めて』(“Seekers of the Ashen Crown”日本語版)が発売となる!
 これは『ダンジョンズ&ドラゴンズ』第4版(以下、D&D)で初となる、新しいワールド・エベロン世界を舞台とした公式シナリオ集だ。
 知恵と行動力で勝負をかける宝探しか、それとも血で血を洗う大乱戦か?
 “塔の街”シャーンに始まる――失われしアーティファクトをめぐっての――エベロンならではの血湧き肉躍る冒険活劇を体感しよう!
 試しに、裏表紙に書かれたカッコいい 惹句じゃっくを読んでみてほしい。


 遠い昔に行方知れずとなった伝説の王冠にしてアーティファクト、アッシュン・クラウン――分割可能なその王冠にはモルグレイヴ大学、キングズ・シタデルらがただならぬ関心を示しているばかりか、より悪辣な諸組織も虎視眈々と狙っている。王冠の一部が“塔の街”シャーンの地下で見つかったことが、残り4つの部分の獲得競争を引き起こした。バラバラになった王冠を完全な状態に戻してその魔力をものにせんと、正邪双方の諸勢力がいまや血眼になり、策謀や裏切りを繰り広げている。
 『失われし王冠を求めて』のアドベンチャーを経験することで、キャラクターたちは2レベルから5レベルへと成長する。このアドベンチャーはエベロン世界を背景設定としているが、D&D世界設定のどれにでも容易に移し替えることができる。このパッケージに96ページフルカラーのアドベンチャー・ブックと、『D&Dミニチュア』を使って遊べる両面バトルマップ1枚が入っている。


どうかな? なんだか、ワクワクしてこないか?


エベロンって何?

 ……と、気合いも充分に息せき切って解説を書き始めたのはいいけれども、ひょっとするとここをご覧の方には「エベロンって何?」という人もいるかもしれない。

 なのでまず、エベロン世界について簡単に紹介をしてみよう。

 エベロン世界は、王道ヒロイック・ファンタジーであると同時に 近代的モダンなエッセンスがたくさん盛り込まれている斬新な世界観でもある。
 魔法を動力にして動く 蒸気動乱活劇スチームパンク的な 小道具ガジェットの数々や、暴力や陰謀が渦巻く 暗黒小説ノワール風の陰鬱な雰囲気。そして何より、映画『インディ・ジョーンズ』シリーズを思わせるダイナミックなアクション。
 それが、エベロン世界のベースになっている色調だ。


 これまで、特定の世界観を使ってD&Dを遊んだことがなかったという人。
 D&Dで「ダンジョンにもぐってモンスターを倒す」という以外の遊び方を、まだあまりやったことがないって人。
 一般的なファンタジー世界だけではなく、ちょっと観点を変えた異世界を堪能してみたいという人。

 エベロンは、そうした人たちにうってつけの背景世界だ。
 第4版での日本語展開が始まった今が絶好のチャンス。ぜひ、エベロンを冒険の舞台に設定してみよう! そうすれば君のセッションは、きっと今まで以上の盛り上がりを見せるに違いない!

 エベロン世界において、魔法はさながら科学技術のように高度な発展を遂げている(ここではそれを、とりあえず「魔法工学」と呼んでおこう)。
 魔法工学の精を尽くして産み出された 巨大都市メトロポリスには、所狭しと摩天楼が建ち並ぶ。一方で、辺境にはいまだ開拓されざる荒涼とした大地が広がっている。
 人々の文化も極めて多彩で、大都市では“ドラゴンマーク”という不思議な印を身体に発現させた者たちが、そうした異能を基体に独自の 産業共同体コングロマリットを形成している。エルフたちは孤島エアレナルで不死の秘儀へと没頭し、ドワーフたちは銀行を経営してもっぱら金儲けに勤しんでいる。ハーフリングは平原で恐竜にまたがり、野生の力を発揮して獰猛な野獣を狩っている。

 だが、その背後には、大陸の動脈部を巻き込んだ、“ 最終戦争ラスト・ウォー”の傷跡が生々しく残されており、いまだ完全に癒えてはいない。
 戦争の副産物とも言うべき幽妖怪異は、大陸のあちこちで 跳梁跋扈ちょうりょうばっこしている。一方で 地下世界アンダーダークからは狂気に満ちた異形の集団が、物質界を蹂躙すべく絶えずつけ入る隙を窺っている。あるいは、次元界を股にかけた奇怪なる謀略が、数万年単位で張り巡らされているかもしれない……。

 とかく、冒険の種と謎めいた事件には事欠かない。それがエベロン世界だ。
 冒険者たちは、“大陸横断鉄道”ライトニング・レイルや飛空艇を駆使し、こうした世界を所狭しと駆け回ることになる! 君たちは、エベロン世界の明日を担う英雄なのだから!


とても遊びやすい世界!

 だけどひょっとすると、「魔法工学」や「近代的」などという言葉から「何だか小難しい世界なのかも……?」と、心配になってしまった人もいるかもしれない。
 でもだいじょうぶ! 難しいことはまったくない。エベロン世界は、とっても遊びやすい世界観だ。
 現にエベロン世界は、ぼくたちが日頃から親しんでいるエンターテインメントにとってもなじみが深い。言い換えればエベロンは、映画やコミックやミステリ小説、それにコンピュータ・ゲームなどを通して得たインスピレーションを手軽に、かつふんだんに盛り込むことができる懐の深い世界なのだ。
 そう、ぼくたちが映画やゲームで体感したカッコいいシチュエーションやストーリーにちょっと手を加えるだけで、ほとんど違和感なくエベロン世界の冒険を作り出すことができる。それがエベロンの大きな魅力だ。

 アメリカやイギリスのSF・ファンタジー史においては「サイエンス・ファンタジー」という歴史あるジャンルが存在するのだけれども、ぼくはエベロンを「サイエンス・ファンタジー」の系譜に属する由緒正しい世界観だと思っている。基本となる設定がしっかりしているから、日頃なじんでいるエンターテインメントの要素を色々と取り入れながら簡単に、骨太な冒険を紡ぎ出すことができるというわけだ。
 だから、君も自信をもってエベロンでの冒険を楽しんでほしい。

 ――それでも、今まであまり親しんだことのない世界をベースにオリジナルのシナリオを作るのは敷居が高いなあ、と感じる人は多いのではないかと思う。
 現に、ぼくもそうだった。エベロンはわりと自由な「何でもあり」な世界だとわかっていたけど、エベロン世界を舞台にオリジナルなシナリオを作る前には、やっぱり何度か公式のシナリオで、デザイナーやシナリオライターがどうエベロン世界というものを捉えているのかを知りたかった。
 そこでお薦めしたいのが、今回発売された『失われし王冠を求めて』だ。
『失われし王冠を求めて』を使えば、君が今まで親しんできたD&Dの冒険とまったく同じ感覚で、一風変わったエベロン世界でのキャンペーンを堪能することができる。
 そして『失われし王冠を求めて』を遊んでエベロン世界のお約束に慣れたら、今度は自分たちの冒険をデザインしていけばいいというわけだ。

 幸いなことに、ぼくは『失われし王冠を求めて』の翻訳のお手伝いをさせてもらったことから、DAC2009という日本最大級のD&D関連のイベントで、日本語版の発売よりもひとあし早く『失われし王冠を求めて』のダンジョン・マスターをさせてもらうことができた。
 なので、そうした経験を踏まえて、『失われし王冠を求めて』の面白い部分や、ちょっとした運用のコツを紹介できたらと思っている。
『失われし王冠を求めて』を購入しようかどうか迷っている君には、ぜひこの記事を参考にしてほしいし、買ってくれた人も『失われし王冠を求めて』を運用する際の手がかりとしてほしい。


 1ページ目   2ページ目へ   3ページ目へ   4ページ目へ   5ページ目へ