コラム

プレイレポ(2017/10/06)「襲撃の夕べ」

更新日: 2017.10.26

国境の情勢

「丸裸、だな」
 城塞の守備隊長、すなわちこの砦の指揮官、老クルトが苦い顔をする。
 机の上には二枚の地図がある。
 一枚は“国境の城塞”の図面。最近の修繕した城壁の場所、馬や守備兵の数、さらには遊撃兵となる冒険者たちの数まで書き込まれている。
 冒険者たちがホブゴブリンの洞窟より持ち帰ったものだ。
「むぅ……」
 向き合うアルカデスは、もう一枚の方の地図を見て唸っている。城塞周辺の地図である。
「南東にある湿地の 蜥蜴人 リザードフォーク とは、むかし小競り合いがあったが、今は毎月豚を贈って手控えてもらっている。丘陵地帯にいる山賊どもは動きを調査しているところだ」
 老隊長が拠点を一つ一つ、指で示して行く。その指先が北東の森で止まる。街道沿いの窪地、“混沌の洞窟”に三つ×印が着けられていた。
「混沌の洞窟に巣くっていたコボルドとゴブリンはおぬし達が、オークはバトルディガーズが掃討した。が、ホブゴブリンは残った。北の荒野から戻った隊によると、このホブゴブリンたちは北方の大部族の先遣隊だ」
「先遣隊? いずれ本隊がくると?」
「おそらくな。そして“支援者”だ」
 アルカデスはうなずいた。持ち帰った高価な 甲冑 プレートメイル 、敵が使っていた毒。ゴブリン族は支援者からそれらを受け取っていた。
「侵攻は組織的、計画的……ゴブリン族以外にも手が回っている可能性はある」

DM:
と言ったことが、本日お休みのアルカデスとクルト隊長との間で語られたと思って下さい。
バレンド/堀内:
この砦結構ヤバいところにあるよね。なのに、兵力少ない。
DM:
クルト隊長が答えます。

「騎士団には、一部隊ほどよこしてくれと頼んだのだ。そして来たのがお主だ。その分の活躍は期待している」
 アルカデスの目が老隊長と会った。ドラゴンボーンの表情、特に動揺は鱗持たぬ民にはわかりにくい。
 アルカデスはそのことを 善竜の王 バハムート に感謝した。

砦の中の日常

「あのさ、ゼーラ姉ちゃん」
「なーに?」
「近所の人から文句言われたからさ、家の前でキャンプするのやめてくれないかな」
「えーっ! ここで寝泊まりしていいって言ったのに!」
 野人相手の話の通じなさに、大家であるところの少年クレイはタメ息をついた。その足下、老犬タイショーが石畳の上の焚火で腹を温めている。

バレンド:
「家の中でテントを張り、焚火すればいいのだ」
ゼーラ:
「そうかー、それなら良いのかー」
DM/クレイ:
「良くないよ!」
ダーヴィン:
「です、良くないッす。掃除大変」と部屋の掃除してる。
DM:
アルカデスは深刻な話してるのに、こっちはのんきだ。買い物とかは済んだんでしたっけ? 
ダーヴィン:
ゼーラに銀の武器を持たせたいよね。
DM:
加工料、金貨百枚ですねえ。
バレンド:
そのためには鎧(ドワーフサイズのプレートメイル)を売らねばならぬ、それはない。次点はポーション・オヴ・ヒーリングだがこれも金貨50枚か……。
DM/クレイ:
「しけてやんなあ、せっかく冒険から生きて戻ったってのに」

「しかたねえ」
 クレイはぐい、と胸を張って言った。
「今日の飯はご馳走にしようぜ。金は俺が払ってやるよ、家賃入れてくれたから財布はあったけえんだ。よし、肉だ、肉を食おう!」
「お肉! お肉はいいね!」
「だろ? よし、ゼーラ姉ちゃん。市場行こうぜ」

バレンド:
いや、その二人で行かせるのはいかん(汗)わしも行こう。
ダーヴィン:
「いってらっしゃーい」とモップがけしてる。
DM:
「(お! イイ感じに別れてくれた)」

闇より来たる

「すごいね! たくさんいるよ。どれを持って帰るの?」
 家畜の囲いの前で、涎を垂らさんばかりのゼーラ。
「いや、これは肉になる前だ。ちょっと違うのではないか」
「へへっ。実はおれ、肉とか買うの初めてなんだ」
 クレイ少年は顔を赤らめた。城塞の 外郭 そとぐるわ 、広場の一角。豚やロバの囲いの前である。

DM:
つまり、クレイ少年はお金が入って舞い上がったうえで、みんなに良いところ見せたかったんですが……自分で料理したことがない。
バレンド:
まあ、今から豚をさばくわけにもゆかぬ(ゼーラ:さばけるよー!)。鶏あたりでゆこう。
ダーヴィン(外野):
ニワトリは……銅貨二枚?
全員:
安っ!

 鶏の後は、鉄の鍋に包丁、塩と必要なものを買った。鶏をぶら下げ、少年と犬がはしゃぎながら家路につく。
 空にはまだあかね雲が残るが、城壁が夕陽をさえぎり、 外郭 そとぐるわ の日暮れは早い。
 その薄暮の中、影が跳んだ。

DM:
では、留守中のダーヴィン。〈知覚〉判定を……(その目だと無理か)。

戦士は磨き上げた下宿の床を見て充実感に浸っていた。船に乗っていたときから甲板磨きは嫌いではなかったのである。成果が目に見える仕事は良いものだ。
――片付けるとしますかね。
と、バケツに手を伸ばしたとき、音もなく影が部屋に舞い降りた。
「!?」
ダーヴィンの不意を突き、急所に迫る白刃。だがそれは甲冑に阻まれる。

DM:
ち、さすがに堅いな。敵は黒い衣装でショートソードの二刀流。フードを目深に下ろし、顔の様子は見えない。二発目はAC19まで!
ダーヴィン:
さすがに当たる!
DM:
急所攻撃を乗せて7点、セーヴィング・スローに失敗したなら毒が入る。前にも喰らった毒です。昏倒はしませんが毒状態になって動きが鈍る!「フッ、他愛ない」

不意討ちラウンド終了、続くラウンドも刺客が先行。が、高いACに阻まれる。

ダーヴィン:
モップで殴る!
DM:
クオータースタッフ扱いにして良いですよ。
ダーヴィン:
(毒状態なので)不利、でもAC17まで当たった! 戦技を使います、プッシング・アタック。追加ダメージ入れて窓の方に突き飛ばす(DM:げ、ヒット・ポイント半分を割った)。そして、石突きで追加攻撃。

海の上で磨いたのは甲板だけではない。ソード・コーストの荒波の如く、寄せては返す怒涛の連撃で壁際に追い詰められる刺客。そこにとどめが撃ち込まれる……!
べしゃり、とモップの頭が刺客の顔をはたく。
「ありゃ、しまった」

ダーヴィン:
石突きは外れた。モップじゃダメだ(笑)
DM:
不意を撃って毒まで入れたけど、やっぱり強いな!?

襲撃

DM:
下宿で1ラウンドが終わったところでゼーラたちにも襲撃が来ます。そちらの受動〈知覚〉はっと……。
ゼーラ:
11!
バレンド:
負けた!
DM:
低いな!??
ゼーラ:
でもタイショーがいる!
ダーヴィン(外野):
使えるものはなんでも使っていきますね(笑)
DM:
犬だもんなぁ。タイショー(マスチフのデータを使用)は嗅覚が使える〈知覚〉判定には有利を得るから……ぐるる、とうなり始めます。

「ふん、気づいたか」
屋根の上からほっそりとした影が身を起こす。かたわらには、やはり闇が凝ったような子馬ほどもある蜘蛛。
「お前はドワーフをやれ」
軋るような地下共通語、しなやかな四肢。それが意味する刺客の正体にバレンドは戦慄する。
――ドラウが狙っているのはわしらか?
「クレイ、ダーヴィンが心配だ。下宿に知らせてくれ!」
わかった、と少年は鶏を抱えて駆け出す。
「誰かーっ! 人殺しだーっ」
――それでいい。

DM:
蜘蛛は指示通り、柔らかなタイショーではなくバレンドを狙って命中。ダメージと毒。
バレンド:
ドワーフなので毒のセーヴに有利がある……成功!
DM:
(あ、しまった。でも、コイツはゼーラと顔合わせておきたいしな)で、では次は刺客。屋根からひらりと飛び降り、ゼーラの顔を見て……
バレンド/堀内:
今何メートル飛び降りました?
DM:
え?
ゼーラ/岡田:
20フィートだから落下ダメージはある。
ダーヴィン/堀江:
もちろん〈軽業〉判定には成功してるんですよね?
DM:
演出で流してくれない!? 、いいですよ判定します……成功! ああ良かった。

注:なお、動画では【敏捷力】〈軽業〉判定の結果の半分だけ落下ダメージを減らし、0になれば大丈夫としている。だがこれは4版のルールなので厳密に言うと裁定ミスである。落下ダメージについては10フィートごとに1d6ダメージで、これを軽減するには魔法やモンクの特殊能力が必要だ。
 改めて裁定するとしたら、【敏捷力】の説明に“君が軽業めいた身のこなしで動くときにも、DMは【敏捷力】〈軽業〉判定を要求することだろう。たとえば跳びこみ、転がり、宙返り、とんぼ返りなどである。”とあるのを準用し、適切な難易度の〈軽業〉判定を行なわせるだろう。
 もちろん、「ここで屋根の上から現われたのは純粋に演出的な要求によるものなので、飛び降りには自動的に成功する。刺客にはそれだけの技術がある」としても構わない。ここでDMが判定をしたのは売り言葉に買い言葉……ではなく、その方がおもしろくなりそうと考えたからだ。

DM:
気を取り直しまして。飛び降りてきた刺客はゼーラの顔を見て吐き捨てるように「醜い」と言います。覆面からのぞく目元はダークエルフのもの。
ゼーラ:
「あなたもドラウなんだね!」と喜ぶ。自分以外のドラウを知らないので。
DM:
「お前のような輩と一緒にするな!」でも、ゼーラの言葉が頭にきたのか、乱暴な攻撃は全部はずれます。
ゼーラ:
「ケンカするなら、容赦しないよ!」とこっちも怒ります。“激怒”。
DM:
“怒る”の強さが違いすぎるでしょお!?

獣の咆吼と共に、 大槌 モール が打ち下ろされる。己の身を省みぬ嵐のような打撃を、刺客は流水の如き身の運びでいなして行く。
返す刀で刺客はゼーラの体を剃刀のような刃が切裂く。だが、いくら肌を裂いても肉には届かない。塗られた毒も効いた気配がない。
「そんなんじゃ、ぜんぜん効かないよ!」
しかし、ゼーラの打撃もまた刺客には届かない。
そして、下宿では……。

DM:
(もう1度毒!)“狡猾なアクション”で離脱して、ハンドクロスボウを撃ちます。4ダメージ、【耐久力】セーヴィング・スロー!
ダーヴィン:
成功した。で、部屋の隅に立てかけてあったハルバードを握る。「こっちじゃないとね!」命中。戦技、トリップ・アタック。ダメージ16点で転倒させる。
DM:
っと、転ぶ前にヒット・ポイントがゼロに。

倒れたドラウの喉に石突きを落とす。肉のひしゃげる音と共に刺客は絶命した。
「しまった、やっちゃった!」
我に返ってダーヴィンは歯噛みする。襲撃の理由を知る手立てが一つ失われてしまった。
と、下宿の外から「人殺しだ!」と声。そして、落雷の如き轟音。
ダーヴィンは飛び出した。

バレンドが詠唱と共に振り下ろした戦斧が路地の敷石を撃ち、そこに轟音がこだました。衝撃波が蜘蛛と刺客を吹き飛ばす。
破砕 シャター の呪文、敵を撃ち、仲間と砦に危機を知らせる呪文であった。

「バレンドか?」
今まさに内郭の門をでて、仲間のもとに戻ろうとしていたアルカデスは、轟音に足を止めた。さらにクレイの「人殺し」と言う声。
「いかん!」
ドラゴンボーンは音のもとへと駆け出そうとして――足を止めた。
「陽動、か?」
これまでなら思い当たることのない考えである。しかし、敵にダークエルフがいるのなら。そして砦にとって今、失ってはならぬのは誰か。
身を二つに裂かれる焦燥に躊躇うこと数瞬。
聖騎士はきびすを返し、クルト隊長の下に急いだ。
――彼らならきっと大丈夫だ。

二つの影

「来い!」 刺客の声に従い、蜘蛛がゼーラの足下を脅かす。
「もう! じゃましないで!」
その隙をついて敵は刃を突き込んだ。互いの息づかいがわかるほど近く踏み込む。
だが、ゼーラは止まらない。
手応えありとほくそ笑んだ顔が、すぐに驚きの表情に変わり、口元の布がはらりと落ちる。
「ああ!?」
二人のダークエルフから、同時に感嘆の声が漏れた。
鏡に映したように、そっくりな二人だった。
「ねえ!」
呼びかけるゼーラから跳び退り、刺客は一際高く何かに呼びかける。
「待ってよ!」
ゼーラは追う。何かを考えたわけではない。逃げるものは追うのが彼女の群れの習いだったからだ。
その足を蜘蛛が噛む。毒液が肉を焼き、知らず苦痛の声を漏らすゼーラ。

ゼーラ/岡田:
毒のダメージは激怒してても半分にならないんだよね……。結構ヤバいけどそのまま追うよ。「待って!」とモールで殴って13点ダメージ。「なんでそんなにそっくりなの? 話あおうよ!」
DM:
話し合う態度じゃないよ、それ!
ダーヴィン:
「敵襲だ!」 と下宿からこっちに合流。
DM:
こっちも増援が戦闘に参加、さっき刺客が呼んだ大グモが城壁の上から登場します。ゼーラを足止めするので糸を吐くけどこれは外れ。

戦場は混乱を増す。
続くバレンドは最初からいたクモを、ゼーラのもとに向かわせぬ、と攻撃。しかしその代償は大きかった。反撃するクモの毒がついにバレンドの体をとらえ、残りhp3点。
刺客はゼーラにクリティカル。“激怒”由来のダメージ抵抗で長く耐えていたゼーラも一桁hpに陥る。そして呼び出した大グモにまたがる。

ゼーラ:
やったな! 反撃だよ、12点ダメージ!!
DM:
ま、まだ生きてる。
ダーヴィン:
“怒涛のアクション”、追加行動で一気に距離を詰めて攻撃……惜しい! 全部外れ。
DM:
“離脱”して城壁の上まで移動。今回は退く!
バレンド:
(しばし考えてから) 睡眠 スリープ 、主人のhpが減っている今なら両方とも眠るかも! 2レベルのスロットを使って強化します。
DM:
あーっ……正しい!

前回もそうだったとおり、キャラクターというものは、逃げる相手は逃がそうとしないものである(学習したはずだったが……!)
運命のダイス・ロール。バレンドが眠らせることのできるhp総計は……

バレンド:
ヒット・ポイント26点分のクリーチャーが眠る、どうだ!
DM:
刺客は大グモの背中に、がくりと突っ伏します。気絶状態、眠った!
全員:
やった!
DM:
でも、大グモは眠らなかった! ゼーラ、どうぞ。
ゼーラ/岡田:
……では、ここでゼーラはヒーリング・ポーションを取りだして、あの子に投げます。
DM:

怒りは消えている。
それよりも、自分と同じ顔をしたあの少年にもう一度会いたい。会って話をしたい。
そう思った時、体がひとりでに動いていた。

疑惑

「みんな、大丈夫だったか?」
アルカデスが駆けつけてきた。その体は返り血を浴びて赤い。
「一人、仕留めたッすよ」
ひらひらと手を振ってダーヴィンが答える。
「こっちを襲ってきた奴は逃がしてしまった」
「わたしにそっくりな顔してた。あの人」
「まー、同じ種族ですしねえ」
「ううん、そうじゃなくって……」
「お主の方はどうだった」
「クルト隊長も襲われたが、どうにか無事――」
「ダークエルフだ!」
会話が、怒鳴り声にさえぎられる。その声は、遠巻きに冒険者たちを囲む砦の人びとの中から聞こえて来た。
「お、俺は見たぞ。そこのダークエルフが、襲ってきた連中に何かを投げてた。コイツはヤツらの仲間だ!」
震える指先はゼーラにむけられている。
「ええっ、ちがうよっ!」
しかし言葉は届かない。恐れと憎しみの視線が彼女に集まる。
「待て、待つんだ!」
アルカデスはゼーラををかばうが、竜の顔に幾人かひぃっと怯えた声を上げる。ドラゴンボーンの表情は鱗持たぬものには伝わりにくい。

DM:
では、ここでやはり返り血まみれのクルト隊長が出てきて言います「詳しい話は、地下牢で聴こう」と。
ゼーラ:
……抵抗はしない。
DM:
OK、では皆さんはダークエルフの刺客を退け、国境の城塞を狙う新たな者たちの存在を知りました。が、それによりゼーラが獄に繋がれてしまいました。
さァて、おもしろくなって来たぞ……!