コラム

プレイレポ(2017/10/20)「幕間」

更新日: 2017.10.27

はじめに

この回は、DMの翻訳チーム柳田が病欠となったため、HJスタッフ伏見がDM代理となってセッションを遂行。
動画ではセッション前、セッション後にDMが休んだときのセッションについてさまざまな意見が上げられている。ぜひ、そちらもご覧頂きたい。

牢獄にて

鉄格子の錆の匂いと湿った土の匂い。それは出会ったときの記憶を思い出させた。
砦の地下、ゼーラの繋がれた牢獄である。
アルカデスは守備隊長クルトとともにそこにいた。

牢の中にはゼーラがいる。打ちひしがれる様子もなく、ダークエルフはただ膝を抱えている。
鉄格子の前にはパンと水に小さな干し肉。1匹のネズミがわずかばかりの肉に食らいついているが、ゼーラは追い払おうともしていない。
ただ、どこか遠くを見るような瞳で1点を見つめている。アルカデスたちが入って来ても、何の反応も無かった。
「ゼーラ?」
ダークエルフは答えない。代わりにネズミがちゅう、と鳴いて彼女の膝に登る。
いったい何を――
そう、ドラゴンボーンが問詰めようとしたとき、ゼーラの目に力が戻った。そして、
「あー、おいしかった♪」
と晴れやかに告げたのである。

ゼーラ/岡田:
3レベルになったんで、ビースト・センスの呪文が使えるようになったんですよ。触った動物の感覚を自分が感じ取れるようにする呪文です。
全員:
はぁ。
ゼーラ/岡田:
これを食べ物にたかりにきたネズミに使う。するとネズミの感覚で山ほどもある美味しい食べ物を食べることができてお腹いっぱいになる!
全員:
はぁ?
ゼーラ/岡田:
岡田:さらにそれからゼーラはですね、

ダークエルフは膝に登ったネズミを無造作につかむと首をひねり、ぱくぱくごりごりちゃびちゃびと食べ始めた。やがてゴクリと飲み下すともう一度、
「あー、おいしかった♪」
と言ったのである。

ゼーラ:
「こうやるとご飯が二度食べられて、二度おいしいんだよ!」
アルカデス/瀬尾:
その発想に衝撃を受けます。悲しんでるのかと思ったら、目をキラキラさせて「美味しい!」って……(笑)
バレンド(外野):
これ、端から見ると頭がおかしくなったようにしか見えない(笑)
ゼーラ/岡田:
ビースト・センスの効果見たときに「これだ!」って思ったんだよね。なのでゼーラはぜんぜん応えてない感じ。「どうしたの?」と
アルカデス:
「お前の無実を証明しにきたのだ」心配して損した(笑)「どうして、あのダーク・エルフにポーションを渡した?」このことが疑われてる原因なので。
ゼーラ:
「だって、わたしと同じ顔をしていたし……ともだちになれるかもって。あのままだとたぶん、死んでたよあの子」
アルカデス:
「なんと心根の真っ直ぐな娘だ……」でも困ったな。

ゼーラの行ないはまぎれもなく善意によるものだ。
そして彼女が密偵であるはずは無い。影に潜み闇に生きる、冷酷で狡猾なる者、それがダーク・エルフである。肌の色と闇を見通す目以外に同族との共通点が彼女にあるだろうか?
しかし、それを知るのはアルカデスたち冒険の仲間だけである。
砦の人びとにとって、ゼーラは恐るべき闇の住人、地下世界の奴隷狩り、悪魔を崇める頽廃の種族、ダーク・エルフだ。
「お主がこの娘を外に出したいと考えているのはわかっている」
重苦しい沈黙のあと、守備隊長クルトは告げた。
「だが、砦に住まう人たちを納得させる正当な理由無くして、この娘を解放すれば砦の秩序が成り立たぬ。それと、」
老クルトは年長者の表情になり、若きドラゴンボーンを諭す。
「聖騎士たるお主の言葉、信念を疑いはしない。だが、このように肩入れするのなら、お主が欺かれているのではないか、ともわしは考えねばならぬ」

アルカデス/瀬尾:
あー、そうか……。「少し、つまらない話になります」

アルカデスの理由

アルカデス:
「身の上話です。私には妹がおりました。妹といっても血のつながらぬもの、母がティーフリング(注:悪魔の血を引く角と尾をもつ種族)の赤子を拾い育てていたのです。母は私と妹とを分け隔て無く愛し、育みました。
しかし、ドラゴンボーンの中にティーフリングがいると言うのは、人の中にドラウがいるのと同じように難しく、なにかあるたび「悪魔の血の仕業」と噂され、面と向かって妹を追放しろと言われたこともあります。
ですが妹の心根は純粋で優しかった。
わたしには妹とゼーラが、特にあの澄んだ眼差しが重なって見えるのです。
確かに私は、肩入れが過ぎるのかもしれません。
けれど、私は、ティーフリングだから、ドラウだからという思い込みで判断してはならない。
ひとは行ないで判断されるべきだと、私は思います」
DM/クルト:
「お主のその言葉こそが、聖騎士の証であろう」
ゼーラ/岡田:
……そんな背景が。
アルカデス:
でもクルト隊長にしか話してないからパーティの仲間は知らないんですよね。ではバレンドたちのところに戻って相談します!

相談

「処刑は近いな」
「ですね」
淡々と、バレンドは意見を述べ、ダーヴィンが同意する。
「どうにかして彼女の潔白を晴らさねばならぬ」

バレンド:
哀しそうな顔で「これからは3人パーティだな」と(笑)いや、無理だろ。
ダーヴィン:
「ぼくらだまされてたんですかね」
アルカデス:
無理かー!?

とはいえ、彼らにもゼーラが密偵でなどあるはずは無いということはわかっていた。
「やり方が稚拙に過ぎる」
バレンドは語る。
「内通者であるなら、もっとうまく、目立たぬようにやる。だが、ドラウが同じドラウにものをわたし、そこを見られて、理由を尋ねられたら『友達になれるかも』これでは無理だ」

ダーヴィン/堀江:
単純に、 真実の場 ゾーン・オヴ・トゥルース かかってる状態でスパイかどうかって聞けば良いんですよ。献身のパラディンなら4レベルで使える。
バレンド:
砦の中に2レベル呪文使えるクレリックがいればいいんだけど……。
DM:
(確認中)いますね。
ダーヴィン:
今のところ処刑で話進んでるから、時間稼ぎしないと。
バレンド:
『すぐ殺しては情報が引き出せない、呪文で尋問してからで良い』だな。
アルカデス:
「それでゼーラの身の潔白が証明されれば、また一緒に行動できる!」

牢獄にて

首もとにチクり、と痛みを感じたときにはもう遅かった。
ドラウの昏倒毒に意識を奪われ、看守は牢獄の床に倒れこむ。ちゅう、とネズミ隅へと逃げる。
「誰なの?」
鉄格子の中からドラウの少女が尋ねた。
答えはない。代わりに低いエルフ語が、
「若、早くお済ませになってください」
と言った。
影は二つ。長剣を佩いた剣士、そして小剣にクロスボウを携えた少年。
「来てくれたんだね」
ゼーラの呼びかけに、“若”と呼ばれたドラウは彼女にそっくりの顔を歪めた。

DM/“若”:
「なぜ、私を助けた」
ゼーラ:
「あのままじゃ、死んでたでしょ。同じ顔をしてるんだもの、他人とは思えないよ! ほら、これ着けたら、もっとそっくりになるかも」

ゼーラは微笑んで、自分の親の形見、獣の耳の飾りを外す。
鉄格子越しに差し出された手を、少年ははたき落とした。
「私の顔でそんなことを言うな。私の顔で笑うな。私の顔で泣くな!」
「もしかしたら……きょうだいだったり、親子だったりするかもしれないよ。わたし、魔獣に育てられたから、家族とかわからないんだ……メンゾベランザン、って昔いた場所のなまえだけはおぼえてるんだけど」
「仮に……仮にそうだとしたら、どうする」
「そうだとしたら、仲良くしようよ!」
「この人間の街でか?」
「どこに行っても良いよ、けど」

ゼーラ/岡田:
「でも、ともだちといっしょにいきたいな。勝手にいなくなったら心配すると思うし。あ、そうだ! てがみをかいておけばいいんだ」
DM:
「若、無理でしょう。この者には話が通じておりません」「あの顔をみて、もしやと思ったが」とクロスボウの照準を檻の中のゼーラに合わせるのですが……。

ふん、と興味を失ったように。少年は照準を外す。
「お前の身の潔白を証すために、連れがいろいろと動いている。その時の方がおもしろい」
背を向けたドラウ二人を闇が包む。
「あ、待って!」
少女の声に答えはない。やがて、闇が薄れたとき、そこには誰も残っていなかった。

神判の場

「こういうのって公開でやるもんじゃないんすか」
「軍の機密に関わる件だ、市民に知られると良くないこともある」
「そんなもんすかねえ」
話ながら冒険者たちは寺院の二階へ登る。
砦の寺院には、幾つもの聖印が掲げられている。訪れたものたちは、例えば商売の繁盛を“商いの友”ワキーンに、作物の豊作を“大母”チョーンティーアに祈る。
二階の部屋に待っていたのは、“眠ることなき”ヘルムに仕える砦の司祭であった。老隊長クルトと、枷をはめられたゼーラはすでに神判の場に到着していた。
やがて神判が始まる。
膝をついたゼーラを前に、司祭は短く見張る神ヘルムへの祈りを捧げる。

DM:
と、そのとき階下から「隊長!」と呼ぶ声。クルトが席を立って部屋を出るのとほぼ同時に、クロスボウの矢が司祭の腕に突き立ちます。そして、鎧戸を吹き飛ばして蜘蛛が部屋に侵入、壁に貼り付いたその背中には、ドラウの姿。
「約束通り、殺しに来たぞ」
ゼーラ:
潔白が証されたときに殺しに来るんじゃなかったの? 早すぎるよ!
ダーヴィン:
けど、これはチャンス。「来たな! お前が本物のスパイか!」と叫んで増援を求める。
DM:
しかし、階下でも戦闘の音が聞えてきます! 
アルカデス:
「好都合だ、返り討ちにしてくれる。そして、この嘘のつけぬゾーン・オヴ・トゥルースの場で洗いざらいしゃべってもらうぞ!」
バレンド:
「ということだ、殺すなよ!」

戦端が開かれる。
敵は、ジャイアント・スパイダー、ジャイアント・ウルフ・スパイダー、ドラウの剣士、そしてドラウの少年。頭数は同じだが、ゼーラは拘束されたまま。
部屋が突如として、漆黒の闇に閉ざされ、その中に大グモにまたがったドラウの少年が体を隠す。
「姿が見えぬならまとめて!」
バレンドの一喝が 破砕 シャター の衝撃となって暗闇を、部屋を揺るがす。びし、と寺院の壁にひびが走った。
続くアルカデスもドワーフの魔術師の戦法に従った。
ぐいと深く息を吸い火を放つ。 竜の吐息 ドラゴンブレス 。灼熱の炎にウルフ・スパイダーが四肢を縮こまらせてコロリと倒れた。
そして、台風の如く 矛槍 ハルバード がドラウの剣士に襲いかかる。流麗な受け流しは一発まで、二つ、三つと受けるうちに追い込まれてゆく。

DM:
ゼーラが拘束を外すにはアクションとして難易度13の【筋力】判定!
ゼーラ:
“激怒”するから【筋力】判定は有利! ……あれ、4と4?
アルカデス:
本気を出せ!
ゼーラ:
攻撃はできないけど、激怒している間近くのみんなは攻撃に有利つくから!
DM:
では、闇の中から少年が姿を現します。そして、ゼーラに毒矢を放つ。
アルカデス:
盾で守る! その攻撃に不利をつけます。
DM:
でも16、17だから当たる、ダメージ5点と毒のセーヴ。

ゼーラはセーヴを失敗する。仕込まれている毒はドラウ昏倒毒。セーヴに5以上の差で失敗すると気絶に陥る危険な毒だ。そこまでゆかぬとも毒状態で命中に不利をこうむる。
そしてドラウの剣客は術者バレンドに攻撃を集中。

DM:
AC18まで。
バレンド:
シールド

このパーティの強みは、武器で攻撃してくる相手に対して穴がないことである。つまり、一般的な冒険者パーティよりも乱戦に強い。
このことがドラウの誤算となってゆく。呪文使いを先につぶすのはセオリー、だが、その呪文使いが堅く、硬い。そして倒せなかった呪文使いが力を発揮する。

バレンド:
もういちど 破砕 シャター ! 3d8で1、6、2。9!……ん?(頭を抱えるほかのプレイヤー)
ダーヴィン:
2d8の期待値が9じゃなかった?
バレンド:
2d8も3d8も変わらないよ!
アルカデス:
「なんとしても、この若とやらに証言をしてもらわねばならん。痛い思いをして貰うぞ!」命中して11点。
DM:
(ころころ)今の打撃で剣士の精神集中が破れました、 暗闇 ダークネス が消えて、若の居場所が明らかになります! 壁の天井に近い方。
ダーヴィン:
でもハルバードなら届く、外れたけど“怒涛のアクション”で追加攻撃。命中したなら戦技トリップ・アタック! ダメージ追加して転べ!
DM:
蜘蛛は転ぶまえに死にました。“若”は辛うじて跳びおりて転倒はしない。
ゼーラ:
わたしは枷を壊した、デストロイモード!

“若”は至近距離からクロスボウを放ち、矢のあとに小剣。アルカデスに阻まれながらも刃がゼーラを貫く。

DM:
く、出目がわるい。
アルカデス/瀬尾:
やっぱりまだ迷ってるんだよ!

バレンドの斧を剣士は受け流しのわざで防ぐ。しかし、続くアルカデスの打撃には応じられず。ダメージ蓄積してゆく。
冒険者たちは剣士に集中。着々とダメージを与えてゆく。
そして、ゼーラの打撃が剣士を沈ませる。

DM:
「“若”お逃げください!」とどめ刺します?
ダーヴィン:
コイツ、生かしておこう。二人捕まえれば情報もはっきりする。
ゼーラ:
移動で“若”に隣接「逃げられないよ!」
DM:
「く、この場は退いてやろう!」 暗闇 ダークネス を使い、そしてボーナス・アクションで早足、移動、寺院の外に出る。

結末

アルカデス:
「逃がしたか! 」でも、仲間を取り返しにくるはず。
DM:
では、階下からクルト隊長が戻ってきます。「蜘蛛どもは始末した、上はどうだった?」
バレンド:
「ドラウが襲ってきましたが、撃退しました。一人は捕えてあります。コイツからも情報を聴きましょうぞ」
ダーヴィン:
なにか持って無いかな。持ち物を探ろう。
DM:
すると、ドラウの剣客の体が冷たくなっている。
全員:
あ!
ダーヴィン:
口の中を見る、毒?
DM:
はい、すでに自分で毒を飲み息絶えています。
アルカデス:
「忠のために死を選んだか……」

司祭の傷はアルカデスが“癒しの手”で治した。
「さてさて、この娘はずいぶんなさだめのもとにいるようだ」
“油断無く見張るもの”ヘルムの司祭は、自分の傷口を縛るとクルト隊長、そしてアルカデスにうなずく。
「では、改めて」
祈りの言葉が紡がれ、神秘の力がゼーラの心に力を及ぼす。
「では、尋問を始めよう」
老隊長が口を開いた。