コラム

D&D第5版へのお誘い『モンスター・マニュアル』プレビュー

更新日: 2018.03.13

ホワイト・ドラゴン

 ホワイト・ドラゴン(白竜)はクロマティック・ドラゴンの中で最も小柄で、知能が低く、動物的だ。彼らは寒冷な土地に住み、極地や凍てついた山々を特に好む、飢えと欲望に突き動かされる凶暴で残忍な爬虫類である。
 ホワイト・ドラゴンの瞳は野獣じみており、頭部は横から見ると流線形で、背筋に沿って棘状の“とさか”がある。ワームリング・ホワイト・ドラゴンの鱗は輝く純白だが、歳を経るにつれて光沢が失われ、一部は暗い色に変わってゆき、老齢にさしかかる頃には淡い青と薄い灰色のまだら模様になる。この模様は、この種のドラゴンの狩場である氷と岩の土地において迷彩になる上に、曇り空に飛び上がって他者の視界から消えようとする際にも役立つ。

 原始的で執念深い:ホワイト・ドラゴンは他のほとんどのドラゴンが備えている狡猾さや戦術を欠いているが、獣じみた本能のおかげで全ドラゴン中で最高の狩猟者となっている。彼らは生き延びることと敵を皆殺しにすることに全身全霊を注いでいるのだ。ホワイト・ドラゴンは凍った食べ物しか食べず、自分のブレスで殺したクリーチャーをカチンコチンに凍ったまま貪り喰らう。すぐに食べない獲物は自分の住処の近くの雪に埋めるか氷漬けにしておく。逆に言うと、君がこのような“食糧庫”を見つけたなら、近くにホワイト・ドラゴンが住んでいるのは確実だ。
 ホワイト・ドラゴンは自分が屠った強敵の死体を勝利の証として保存し、凍り付いた屍を見渡してほくそ笑む。ホワイト・ドラゴンの住処の一番目立つ場所に、侵入者への警告として、ジャイアントやルモアハズ、あるいは他のドラゴンの亡骸が飾られていることはよくある。
 ホワイト・ドラゴンはあまり知能が高くないが、記憶力は並外れており、こうむった侮辱と敗北は決して忘れない。己に害をなした相手に対し、ホワイト・ドラゴンが悪意に満ちた復讐を行なった例はいくつも知られている。復讐対象に選ばれる頻度が特に高いのが、ホワイト・ドラゴンと同じ種類の土地に住処をかまえるシルヴァー・ドラゴンだ。ホワイト・ドラゴンは他のドラゴンと同様の会話能力を持つが、強いられない限りめったに言葉を発しない。

 孤独な主人:ホワイト・ドラゴンは他のあらゆるドラゴンを避ける。異性のホワイト・ドラゴンだけは例外なのだが、配偶者を探す時ですら、一緒に過ごすのは子どもを作る必要最低限の期間のみであり、ことが終れば即座に独り暮らしに戻る。
 ホワイト・ドラゴンは自分の住処の近くにライバルがいるのを我慢できない。彼らにとって他のクリーチャーは“生きる価値の無い弱者”か“生かしておくのは危険な強者”のいずれかであり、いずれもドラゴンの攻撃対象となる。ホワイト・ドラゴンの下僕になりうるクリーチャーは、ドラゴンの怒りをなだめるだけの実力を備え、かつ飢えたドラゴンが定期的に仲間を喰うことを我慢できるような、知能のある人型種族に限られるのが通例だ。この該当例の1つが、ホワイト・ドラゴンの住処でよく目撃される、ドラゴンを崇拝するコボルドたちだ。
 強大なクリーチャーであれば、肉体的ないし魔法的な力の強さを見せつけることによって、ホワイト・ドラゴンを服従させることができる場合がある。フロスト・ジャイアントは力だめしと氏族内での地位向上を狙ってホワイト・ドラゴンに挑むので、ドラゴンの住処に数多のジャイアントの骨が散らばることになる。いっぽうフロスト・ジャイアントに打ち負かされたホワイト・ドラゴンはその巨人の下僕になり、己より強いクリーチャーへの隷属と引き換えに、巨人に敵対ないし隷属する者たちに対しては支配者面ができるようになる。

 氷の中の宝:ホワイト・ドラゴンは氷の冷たい輝きを愛し、氷に似た性質の宝(特にダイアモンド)を好む。だが実際には、人跡稀な極寒の土地に住むホワイト・ドラゴンの宝の山のほとんどは、セイウチやマンモスの牙、鯨骨の彫刻、船首像、毛皮、そして勇敢すぎた冒険者たちから奪った魔法のアイテムなどで構成されている。
 ホワイト・ドラゴンの住処には硬貨や宝石が散らばり、光が当たると星空のようにキラキラ光る。より大きな財宝や宝箱はホワイト・ドラゴンの凍てつく吐息で氷漬けにされ、何層もの透明な氷の中に安置されている。ドラゴンの剛力をもってすれば氷の中の宝を掘り出すのはたやすいことだが、下等なクリーチャーは何時間もかけて氷を削り融かさねば竜の財宝に触れることもできない。
 ホワイト・ドラゴンはその完璧な記憶力によって、自分の宝の山に含まれる硬貨、宝石、魔法のアイテムの入手経緯をすべて覚えており、1つ1つの宝にまつわる勝利の記憶も完璧である。また、ホワイト・ドラゴンに賄賂が利きづらいのはあまりにも有名だ。ホワイト・ドラゴンに宝の一部を差し出すのは、「お前は俺を殺して宝をすべて奪えるほど強くはないだろう」という侮辱として受け止められるからだ。