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序文より
2006年のある日の午後、Wizards of the Coastウェブサイトにあるフォーゴトン・レルム・メッセージ・ボードを眺めていた私は興味深いスレッドを見つけた。“Iakhovas”という神秘的な名前を名乗る誰かが作成したフォーゴトン・レルムのすばらしい歴史ツールを数人の投稿者がべた褒めしていたのだ。そのようなメッセージのなかの1つにリンクが張られていたため、私は興味を抱いてそれをクリックした。すぐに私は100ページに及ぶPDFを見つけた。このドキュメントは主として、すべてのD&Dフォーゴトン・レルム出版物を編集した年表からなっていた。言うまでもないが、それこそがBrian Jamesの『Grand History of the Realms』だった。君が現在その手に持っている本にとても良く似た形態をしていた。
言うまでもなく、私は直ちに感銘を受けた。Iakhovasの『Grand History』は我々が作るべきオンライン・リソースであると私は考えた。なにしろ我々はさまざまなサプリメントの中で1ダースもの異なる年表を編集してきたが、それらを1つの統一した歴史にまとめることはこれまで一度もしなかったのだ。そのため私はそのリンクをChris Perkins(D&Dのデザイン・マネジャー)、Phil Athans(我々のブック・チームの編集長)、Bart Carroll(我々のD&Dウェブサイト・コンテンツのプロデューサー)に送った。「これはすばらしい作品だ」と、私は彼らに言った。「この人物に接触し、その仕事に対して対価を支払い、ウェブ・フィーチャーとしてこれを掲載しようと考えているのだがどうだろうか?」
彼らはその考えがとても気に入ったようだった。私は神秘的なIakhovasに接触し、彼の作品に我々が興味を持っていることを知らせた。こうして私はBrian Jamesと知り合った(少なくとも、電子的に)。BartとChrisはBrianの『Grand History』を我々のフォーゴトン・レルム・ウェブ・ページで使用する契約を彼と結んだ。私は従来の仕事に戻った。だがChrisはすでに『Grand History』に関するより大きな計画を心に抱いていた。そして我々の新製品スケジュールに空きが生じた時、彼は我々のビジネス・マネジャーたちに働きかけ、『Grand History』をそこに割り当てるのに成功した。これは前例のないことだった。私は長年に渡ってTSRとWizards of the Coastで働いてきたが、ファンが作成し、元々はインターネットで公開されていた、持ち込みでない作品が我々の新製品スケジュールに乗っかるのは初めてのことだったのである。
従って『フォーゴトン・レルム年代記』(The Grand History of the Realms)はただの優れたフォーゴトン・レルム・サプリメントではない。我々にとって真に革命的な製品でもあるのだ。本書は君、すなわちフォーゴトン・レルム・キャンペーン世界の読者とプレイヤーが創作活動に参加していることを示す印なのである。我々全員が知り、そして愛しているフォーゴトン・レルム・キャンペーン世界における君の興味と経験がフェイルーンの一部となったのだ。我々がこれまで出版してきたいかなる小説、サプリメント、冒険シナリオに勝るとも劣らない、フェイルーンのすばらしい一部となったのである。フォーゴトン・レルムは我々が作るものに留まらない。君が作るものでもあるのだ。
言うまでもないが、何ダースものフォーゴトン・レルム製品から抜粋した年表しか書かれていない本に興味を示すのは最も献身的なファンだけだろう。そのためChrisはBrianの優れた編集作品を60近いサイドバーで拡張する決断を下した。Brian、Tom Costa、Eric L. Boyd、George Krashos、そして他でもないEd Greenwoodその人が執筆したそれらのサイドバーは、永遠に発展し続けるフェイルーンの物語に新たなページを追加している。
第3版のサプリメントの大部分は比較的小人数のゲーム・デザイナーが作成したものだが、そのような本に記述されている歴史のなかには、より古い第1版や第2版のサプリメントが元になっているものがたくさんある。それらのサプリメントは何年も前に、我々とは異なる人々が執筆したものだ。現在まで何十人ものゲーム・デザイナーと著者が、この物語に触れてきた。150ページ以上に及ぶ本書に書かれている、この多岐に渡った大いなる物語に。フォーゴトン・レルム・ゲーム製品に関った、あるいはフォーゴトン・レルム小説を執筆したた全員が、この広大な想像力の眺望に寄与したと言えば十分だろう。そしていつだって、Ed Greenwoodは彼の世界を惜しみなく開放してくれた。我々全員がフォーゴトン・レルムに持ち込むあらゆる種類の物語やアイデアに、場所を見つけてくれたのである。彼がいなければ本書は成立しなかった。
なんであれ、Iakhovas―Brian James―のちょっとした情熱と膨大な尽力のおかげで、君は今このすばらしい『年代記』を見ることができるというわけだ。楽しんでくれたまえ!
はじめに
トリル全域には、そしてなかでも特にフェイルーンには、豊かな歴史がある。永劫の時が過ぎゆくにつれ、この世界の全域でさまざまな帝国が勃興しては滅んだ。この年代記は栄えあるフォーゴトン・レルム・キャンペーン世界の歴史を表している。我々は何ダースものサプリメントに書かれている情報を集めて年代記の決定版を作成した。
年表の書式
本書の大部分は短い項目からなっている。それらすべてが合わさって、フェイルーンやトリルのその他の大陸の歴史年表を構成している。さまざまな出来事は(当然ながら)それらが発生した年代順に並んでいる。それに加えて、直近の4年(1372〜1375年)の出来事はそれらが発生したもしくは始まった日付順に並んでいる。
この物語は長くて複雑なため、我々はたくさんのポインター―あるいは“リンク”と呼んでも良い―を挿入した。ある年から次の(もしくは前の)年へと続く一連のポインターを辿ることにより、一続きになっている一連の出来事を読むことができるようになっている。
たとえば君が本書を開いて、851年の項がエルミンスターに言及しているのに気付いたとしよう。君は彼の名前の次に[720、1179]と書かれているのに気付くだろう。これは要するに、エルミンスターに次に言及しているのは1179年であり、直前に言及しているのは720年であることを示している。この鎖を前後に辿ることにより、君はすぐに、“シャドウデイルの賢者”に関して何か重要なことを言っているすべての場所をこの年表で見つけることができる。(ポインターが1つしか書かれていない場合、その項目はその鎖の最初か最後であることを意味している)
ポインターが書かれていない名前や用語も少なくない。あまりにもたくさん出現するため、それらすべてに年号を併記すると文章が読みにくくなってしまうからだ。たとえば(ほんの一例だが)ウォーターディープ、ミス・ドラナー、ゼンティル・キープに言及しているすべての場所にポインターをつけたなら、この年表は[ブラケット]に囲まれた数字だらけになってしまうだろう。従って、もし君がシャドウデイル(これまた別の例だが)に関するすべてを見つけたいと思うなら……本書を全部読まねばならない。
フェイルーンの君主
この年表には有用な付録がついている。本書の中ほどに記載されている。これはフェイルーンのすべての人間の国々の支配者たちの詳細なリストだ。この情報を編集したのはGeorge Krashosである。ここには年表で言及されていない情報が詳細に記述されている。それぞれの国の支配者たちの歴史はそれ自体が1つの物語なのだ!
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カレンダー変換
この年表には、優れたフェイルーン歴史学者であれば気がつくであろう特筆すべき特徴が1つある。すなわち、我々はすべての年号を現在のデイル暦(DR)で示した。フォーゴトン・レルムにあるさまざまな文化はそれぞれ異なるカレンダーを使用している。そしてそれらの帳尻を合わせるのは、賢者にすら難しい仕事なのである。DR年をその他のカレンダーに変換する際には以下の注釈を参照すること。
デイル暦(DR):この人間中心のカレンダーは年号表記の標準になった。デイル暦ができたのは日の出の年である。エルフが人間に、コーマンソーのより開けた地域に定住するのを最初に許可した年だ。自由人暦とも呼ばれている。
コアミア暦(CR):このカレンダーはオバースカイア王朝がコアミアを建国した時から始まっている。すなわち26DRだ。2つの接近した、だが同じではないカレンダーが同一の地理的地域で使用されていることにより、歴史学者と賢者はとても混乱している。変換方法:DR−25=CR、すなわちCR+25=DR。
北方暦(NR):このカレンダーはウォーターディープ市、シルヴァー・マーチ、“北方”の全域で使用されている。DR−1032=NR、すなわちNR+1032=DR。
ウォーターディープ暦(WY):かつてウォーターディープで使用されていたカレンダー。現在は使用されていない。
ネザリル暦(NY):すでに滅んでいるネザリル帝国で使用されていたカレンダー。セヴントン同盟に由来する。DR+3859=NY、すなわちNY−3859=DR。
ショウ暦:ショウ・ルンの人々はヌン・フューの即位を彼らの帝国のカレンダーの開始時と考えている。DR+1250=ショウ暦、すなわちショウ暦−1250=DR。
ワ暦:フォーゴトン・レルムの東部にある島嶼国家であるワで使用されているカレンダー。DR+418=ワ暦、すなわちワ暦−418=DR。
ムルホランド暦(MC):スカルドの創建を起源とする太古のカレンダー。DR+2134=MC、すなわちMC−2134=DR。
アンサー暦(UC):ギルジームがアンサーの神王に即位した時に樹立された。DR+735=UC、すなわちUC−735=DR。
アリセルマリル暦(AC):アリセルマリルの海底エルフがその帝国の創建時から使用していた古代のカレンダー。DR+11004=AC、すなわちAC−11004=DR。
時歌暦(TS):ミス・ナンターで樹立されたカレンダー。現在ではセロースの海底の住民の大部分が使用している。DR+70=TS、すなわちTS−70=DR。
現暦(PR):“災厄の時”を0年とする比較的新しいカレンダー。DR−1358=PR、すなわちPR+1358=DR。
年号目録
−700DR以降の各年にはその年につけられた名前も併記されている。それらの名前は“年号目録”に記載されている。このように各年にそれぞれ個別の名前をつける作業を行ったのはおおむね、別々の時代に生きた2人の預言者だ。“狂人”オーガスラ(−400DR頃)と“予言者”アローンド(75DR頃)である。それらの作業についてはほとんど何もわかっていない。わかっているのは、彼らはエルフの伝承と預言を元にそれを行ったという点だ。そして未来に対する独自の予言をそれに追加したのである。歴史学者のなかには彼らを下劣な学者とみなす者もいる。何世紀にも及ぶエルフの知識を盗み、自分の功績にしたのだと。あるいは、彼らを偉大な予言者とみなす者もいる。未来の世代に警告と安心を与えようと考えたのだと。
新しい“年号目録”に関する噂が広まったのはつい最近のことである。“喪失の女王”とその信者が作成した“黒の年代記”だ。しかしながらこの“影の目録”が作成された目的はまだわかっていない。
フォーゴトン・レルム・キャンペーン世界における現在は1375DR、勃興するエルフ族の年である。