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想像してみよう。筋骨隆々たる戦士と、強大なる秘術を振るう魔法使い、そして身の毛もよだつ怪物の跋扈する世界を。
想像してみよう。恐れを知らぬ勇者だけが足跡を刻むことができる古の遺跡と、巨大な地下洞窟、そして果てしなき未開の荒野の広がる世界を。
想像してみよう。剣と魔法が支配する世界を、妖精と悪鬼が住まう世界を、巨人と竜が跳梁する世界を。
それがファンタジー・ロールプレイング・ゲームの最高峰『ダンジョンズ&ドラゴンズ』(D&D)の世界だ。君は武技に長けた戦士であるファイター、勇気ある神官クレリック、敵の隙をつき致命的な攻撃を繰り出す盗賊ローグ、強力な呪文を操る魔法使いウィザードといった、伝説に語られるような1人の英雄を演じる。気心の知れた友人たちと、ほんの少しの想像力。それさえあれば、君は危険な任務や伝説にうたわれるような大冒険に旅立ち、恐ろしい試練と血に飢えた怪物どもに挑むことができる。
さあ、冒険の準備をしよう――この『プレイヤーズ・ハンドブック』には、君が自分だけのヒーローを作るために必要なすべてが詰まっている!
この章では、初めてアドベンチャー(冒険)をする君のために以下のトピックについて解説する。
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ロールプレイング・ゲームとは
『ダンジョンズ&ドラゴンズ』は、ロールプレイング・ゲームだ。
実をいえばD&Dこそ世界最初のロールプレイング・ゲームにして、このジャンルのゲームを生み出した元祖なのだ。
ロールプレイング・ゲームは物語を創造するゲームである。子供の頃にやった“ごっこ遊び” 的な要素を含んだゲームと思えば解りやすいだろう。しかし、D&Dをはじめとするロールプレイング・ゲームは、形式的にも構造的にも、確固たるゲーム性を有し、無限に遊び続けることのできる拡張性を持つ点で“ごっこ遊び” とは異なる。
D&Dはファンタジーの世界で冒険するゲームである。君は1人のキャラクターを作成し、他の(君の友人たちが作った)キャラクターたちと力を合わせて、世界を探険しモンスターと戦う。D&Dはダイス(サイコロ)とミニチュアを使って遊ぶゲームだが、探険や戦闘はテーブルの上よりもむしろ、君の想像の中で繰り広げられる。その中で、君は想像力の及ぶ限りどんなものでも自由に作り出すことができる。無限の予算とどんなことでも実現するテクノロジーをもって映画を撮るようなものである。
D&Dを他に類を見ない素晴らしいゲームにしている存在がダンジョン・マスター(DM)だ。DMは、主導的役割を果たす語り手にして、ゲームの審判役である。DMはキャラクターたちのためにアドベンチャー(冒険)を作成し、キャラクターのとるアクションについてプレイヤーたちに解説する。DMはD&Dに無限の柔軟性を与えてくれる─DMはどんな状況になろうとも、どんな突飛で無茶苦茶な提案をプレイヤーたちがしようとも対応することができる。それがD&Dの冒険を活気にあふれた、エキサイティングで予想のつかないものにしてくれるのだ。
アドベンチャーは、D&Dというゲームの根幹である。たとえるなら、アドベンチャーとはファンタジー映画のようなものである。ただし、劇中に登場するのは映画スターでなく、君と友人たちが作成したキャラクターたちだ。
DMはセットを用意する。しかしキャラクターたちがそこで何かをするまでは、どんな展開になるのか誰にもわからない─そして何かをしたならば、どんな展開になってもおかしくないのである!
君は暗いダンジョンや、廃虚となった都市、深い密林の中にある忘れられた寺院、あるいは不思議な山の地下に広がる溶岩に満たされた洞穴を探険することになるかもしれない。君はパズルを解き、他のキャラクターたちと話し合い、ありとあらゆるファンタジックなモンスターと戦い、途方もない魔法のアイテムや宝物を見つけ出す。
D&Dは協力しあって遊ぶゲームでもある。アドベンチャーの目的を達成し、ゲームを楽しいものにするためには、君と友人たちが協力しあわねばならない。D&Dは物語を創造するゲームだ。君の想像力に限界がないなら、D&Dにも限界はない。D&Dは、いくつものすばらしい幻想文学の伝統の上に打ち立てられた、ファンタジー・アドベンチャー・ゲームだ。アドベンチャーの最中、君は思いついたことをどんなことでも試みることができる。ドラゴンと戦うのでなく話し合いたい? オークに変装して、汚らしいアジトに忍び込みたい?
いいじゃないか、思い切ってやってみよう。君の行動はうまく行くかも知れないし、とんでもない大失敗に終わるかも知れない。しかし成否に関係なく君はアドベンチャーのストーリーを展開するのに貢献しており、恐らくはその過程を大いに楽しむことができたに違いない。
勇敢な冒険者たちが恐ろしい脅威に立ち向かうエキサイティングなストーリーに参加すること。それが『ダンジョンズ&ドラゴンズ』というゲームにおける“勝利”なのである。このゲームには、本当の意味での終わりはない;君が1つの物語やクエスト(「任務」や「探索行」ほどの意)を終えたとしても、また新たなものを始めることができるからだ。D&Dの愛好者たちは、何ヶ月でも何年間でもゲームを遊び続ける。友人たちと毎週会合を開いては、前回の続きからストーリーを再開しているのだ。
ゲームが続けば、それだけ君のキャラクターは成長する。モンスターを打ち負かすごとに、アドベンチャーを完了するごとに、宝物を手に入れるごとに、物語が継続するだけでなく、君のキャラクターも新しい能力を獲得していく。キャラクターが強くなっていく度合いは、“レベル”という形式で表される;君がプレイを続けるほど、君のキャラクターが積む経験も多くなる。そしてレベルが上昇するにつれ、新しくさらに強力な能力を身につけていく。
時として、君のキャラクターは狂暴なモンスターや非道な悪党の手でバラバラに引き裂かれ、無残な最後を迎えるかも知れない。しかし、君のキャラクターが倒されたとしても、それは君が“負けた”という意味ではない。仲間たちは君のキャラクターを復活させる強力な魔法を使うことができるからだ。あるいは、君は新しいキャラクターを作成して、前のキャラクターが戦死したところから続行する方を選択するかも知れない。目標を達成できないままアドベンチャーが終わってしまうこともあるかも知れない。しかし君が楽しい時間を過ごせたと思うなら、そして参加者全員の語り草になる物語を創り出すことができたのなら─それがグループ全員にとっての“勝利”なのである。
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幻想の世界
『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の世界は、魔法とモンスターの世界─勇敢なる戦士たちと胸躍る冒険の世界である。最初は中世ヨーロッパ風ファンタジー世界をベースにしたものだったが、そこにさまざまなモンスター、驚異の土地、恐るべき能力のかずかずが付け加わってゆき、現在の一種独特な“D&D世界”となるに至ったのである。
D&Dの世界は長い歴史の上に成り立っている。古の世に栄えた幾多の帝国の遺跡や、冒険と謎に満ちた場所が各地に残っている。古代帝国群の伝説と遺物はいまだに残っている─恐るべき脅威もまた然り。
この世界には現在、世界全体を支配するような帝国は存在しない。世界は暗黒時代のとばりに包まれている。一つの大帝国が崩壊し、次なる帝国が産声を上げるまでにあと数世紀はかかろうという、狭間の時代なのである。
栄えているのは多数の小王国:より明確に言うなら男爵領や荘園、都市国家の類である。しかし現状、こうした居留地は、広大な暗闇の中に灯る1つの光点、避難所、世界を覆い尽くす大荒野に浮かぶ文明の小島に過ぎない。冒険者たちはアドベンチャーの合間に居留地で休息と補給を行なうことができる。しかしながら、完全に安全な居留地などどこにもない。アドベンチャーは居留地の中で(あるいはその地下で)発生することもあるのだ。
冒険の途中、君は数々の幻想的な場所を訪れることになるかも知れない:溶岩の川で区切られた広い洞穴通路;古代の魔法により天高くそびえ立つ塔の群れ;微かな光を放つ霧の漂う、ねじくれ曲がった木々の森─どんなことであれ君に想像できることは、ゲームの進展とともにいずれ君のキャラクターが体験するかも知れないことなのである。
モンスターと超自然の生き物たちもまた、この世界の一部である。か細き文明の光の狭間にある、暗闇の中を彼らは徘徊する。脅威となるものもいれば、援助の手を差し伸べるものもいる、そして、多くのものはどちらともいえない。君の接し方次第で異なる対応をとるものたちなのである。
魔法は至る所にある。人々は魔法を信じ、魔法が提供するパワーを受け入れている。しかしながら、本当の意味で魔法を使いこなしている者は希だ。ちょっとした魔法に触れる機会のある人は多い。下級の魔法は街に住む人々が共同体を維持する上で役立っているからである。しかし、あたかも鍛冶屋が金属を成形するかのように魔力を成形して呪文となすことのできる存在は、冒険者と同じくらいに希であり、その多くは君や仲間の味方や敵として登場する者たちである。
ある時点で、すべての冒険者は、何らかの形で魔法に依存することになる。ウィザードとウォーロックは、宇宙の構造そのものから魔力を引き出し、意志の力でそれを成形し、爆風と変じて敵に叩きつける。クレリックとパラディンは己の崇める神々の怒りを喚び下ろし、信仰の輝きをもって敵を灼き、あるいは神々の慈悲を祈願し味方の傷を癒す。ファイター、レンジャー、ローグ、ウォーロードはあからさまな魔法の力は使わないが、魔法の武器を使いこなすことによって戦場の覇者たることができる。最高レベルのキャラクターともなれば、魔法の使い手でない冒険者でさえ、定命の存在が魔法なしに実現できるとは夢にも思えないほどの離れ業をやってのけるようになる─薙ぎ払うように振り回した大斧が大地を揺るがしたり、影を身にまとって不可視になったりといったことが可能になるのだ。
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D&Dの歴史
ロールプレイング・ゲームも、コンピュータ・ゲームも、トレーディング・カードゲームもまだ存在しなかった時代。ウォーゲームというものがあった。メタル・ミニチュア(金属製の小さな人形)を使って歴史上の有名な戦いを再現するウォーゲームは、いわゆるホビー・ゲームの原点であった。1971年、ゲイリー・ガイギャックスは『Chainmail』を製作した。これは中世ヨーロッパを舞台とした伝統的なウォーゲームだが、おまけとしてファンタジーのクリーチャーと魔法をもりこむことも可能になっているルール・セットであった。1972年、デイヴ・アーネソンはガイギャックスに新しいアプローチを提案した;各プレイヤーが大人数の軍隊を操るのでなく、1人のキャラクターを、1人の英雄をプレイするというのはどうだろう?互いに戦うのでなく、英雄たちが協力して悪者を倒し、報酬を得るというのは。こうして、ルールとミニチュアと想像力を組み合せた、まったく新しいエンターテイメントが誕生した。そして1974年、ガイギャックスとアーニソンはTSR社を設立し、世界発のロールプレイング・ゲーム・ルール・セット─『ダンジョンズ&ドラゴンズ』を出版した。
1977年、ルールを新たに書き直した新装版である『ダンジョンズ&ドラゴンズ・ベーシック・セット』が登場すると、D&Dは一躍大ブームになった。その1年後には『アドヴァンスト・ダンジョンズ&ドラゴンズ(AD&D)』第1版がハイクオリティなハードカバー書籍として出版されている。
1980年代を通じて、D&Dは著しい成功を収めた。小説、TVアニメ、コンピュータ・ゲームと最初期のキャンペーン世界設定(フォーゴトン・レルムとドラゴンランス)がリリースされ、1989年には長らく待ち望まれてきたAD&Dの第2版が全世界に旋風を巻き起こした。1990年代に入っても勢いは衰えず、新たなキャンペーン世界(Ravenloft、Dark Sun、Planescapeなど)がリリースされていった。しかし、90年代末になると、さしものD&Dという巨人からも熱気が失われていった。1997年、ウィザーズ・オヴ・ザ・コースト社はTSR社を買収すると、開発部門をシアトルに移転し、この元祖ロールプレイング・ゲームの第3版の製作を開始した。
そして2000年、D&Dの第3版が発売され、ゲーム・システムの革命として絶賛を集めた。この時期、D&Dの人気はさらに高まり、30周年記念イベントが催され、驚くほど多数のルールブックやサプリメントやアドベンチャーが出版された。D&Dの発展は、ポップ・カルチャーにも大きな影響を与えてきた。D&Dは何世代にも渡ってゲーマー、作家、コンピュータ・ゲーム・デザイナー、映画製作者の感性を刺激し、その想像力を広げ創造力を高めることに貢献してきたのである。
そして今、我々は新たな金字塔を打ち立てた。斬新にして痛快、華麗にして鮮烈なる、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』第4版である。このD&D第4版は過去の伝統を踏襲しつつ、今後10年間のプレイ環境を盤石とするものである。最初のD&Dからプレイし続けていようと、今日初めてD&Dに出会ったのであろうと関係なく、この新版はファンタジーと冒険の世界へ君をいざなう鍵となるだろう。
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D&Dを遊ぶには何がいる?
『ダンジョンズ&ドラゴンズ』をプレイするには、以下の4つが不可欠である:プレイヤー少なくとも1人(プレイヤーが4人または5人いるのがベスト)、ダンジョン・マスター1人、アドベンチャー1つ、ルールブックとダイス一式。
プレイヤー・キャラクター
プレイヤーである君は1人のキャラクター─英雄的な冒険者を作成する。冒険者とは、ダンジョンに潜り、モンスターと闘い、世界各地の暗黒の荒野を探険するチームの一員である。プレイヤーが作成したキャラクターは、プレイヤー・キャラクター(PC)と呼ばれる。プレイヤー・キャラクターは、小説や映画の主人公のような、ゲームのアクションの中心的存在である。
D&Dのキャラクターをプレイするとき、君はまるで自分がそのキャラクターになったかのように、キャラクターの立場で物事を考え、決断をする。たとえば、君のキャラクターが次にどの扉を開けるかを決めるのは君だ。モンスターと戦うべきか、悪者と交渉すべきか、危険なクエストを遂行するかを決めるのは君なのだ。君はこうした判断を、自分のキャラクターの性格、動機、目的に基づいて下し、望むならキャラクターになりきって話したり演技をしたりしても構わない。君は自分のキャラクターがゲーム内でどんな行動をし、どんなセリフを言うかについて、ほぼ無制限のコントロール権限を持っているのだ。
ダンジョン・マスター
D&Dのプレイには、特別な役割を担う人物がいる:それがダンジョン・マスター(DM)だ。ダンジョン・マスターはプレイヤーたちに対して、彼らが挑む冒険と挑戦を提供する。D&Dをプレイするには、必ずダンジョン・マスターが1人必要になる─DMがいなければゲームをプレイすることはできないのだ。 ダンジョン・マスターは、ゲームにおいて以下のような機能を果たす。
アドベンチャー作成:DMは君と他のプレイヤーたちがプレイするためのアドベンチャーを作成する(または既製のアドベンチャーから選択する)。
司会進行:DMは物語の進行を管理し、プレイヤーたちに対し、克服すべき多種多様な挑戦と遭遇を提示する。
モンスターのコントロール:ダンジョン・マスターはプレイヤー・キャラクターたちが戦うモンスターと悪役を操作する。そして、彼らがどんなアクションをとるかを選択し、彼らが攻撃する際のダイスをロールする。
審判:次に起きることが確定していない場合、ルールをどのように適用し、物語をどのように展開させるかを決定するのはDMの役目である。
アドベンチャーにおいてモンスターと悪者を操っているのはダンジョン・マスターだが、だからといってダンジョン・マスターがプレイヤーの敵というわけではない。DMの仕事は参加者全員がエキサイティングな冒険を楽しむための枠組みたるアドベンチャーを提供することである。これはすなわち、プレイヤー・キャラクターたちに面白い遭遇や試練を提示し、ゲームが停滞しないように動かし続け、ルールを公正に適用するということである。
D&Dを遊ぶ人の中でも、「ゲームで一番面白い役割はダンジョン・マスターだ」という意見は多い。ダンジョン・マスターの役割を引き受けたからといって、ずっと永久にDMを続ける必要はない─アドベンチャーごとに君と友人たちで交替でDMをつとめても構わないのである。自分のグループのダンジョン・マスターになってみたいと思うなら、そのために必要な情報はすべて『ダンジョン・マスターズ・ガイド』(続刊)を読めば見つかるだろう。
アドベンチャー
冒険者は冒険してこそ冒険者。『ダンジョンズ&ドラゴンズ』用アドベンチャーは、一連のイベントで構成されている。次にどちらに行くべきかをプレイヤーが決定し、そしてその結果生じた遭遇と挑戦にキャラクターとしてどのような対応をとるか。それがアドベンチャーを、そのキャラクターを中心としたエキサイティングなストーリーへと変えるのである。アクション、戦闘、謎解き、魔法、挑戦とたくさんのモンスター! これこそD&Dアドベンチャーの真骨頂なのである。
どうやって遊ぶ?
『ダンジョンズ&ドラゴンズ』というゲームにおける君の“駒” に相当するのがキャラクターだ。彼または彼女は、ゲーム世界における君の分身なのである。君は自分のキャラクターを通じて、どんな手段を使ってでも、思いのままに、ゲーム世界へ干渉することができる。唯一の限界は、君の想像力─そして往々にして、君がダイスでどれだけ高い目をロールできるかだけである。
基本的に、D&Dというゲームは、プレイヤー・キャラクターのグループがダンジョン・マスターの提示するアドベンチャー(冒険)を遂行するという形式で行なわれる。アドベンチャーは、数回の遭遇(君のキャラクターたちが克服せねばならない挑戦)から成り立っている。
遭遇には2種類ある。
戦闘遭遇は、邪悪な敵との戦いである。戦闘遭遇では、キャラクターとモンスターが順番にターン(自分の手番)を行ない、これをいずれか一方の陣営が敗北するまで続ける。
非戦闘遭遇は、致命的な罠や難解なパズルなどの障害を乗り越える遭遇である。非戦闘遭遇の克服には、キャラクターの技能を使用することもあれば、うまく魔法を使うことで打破することもある。事によっては君の頭脳だけを頼りに謎解きをせねばならないことさえある。非戦闘遭遇には社交的状況もある。たとえばDMの操るノンプレイヤー・キャラクター(NPC)を説得したり、取引したり、情報を聞き出したりするのである。どんな状況であれ、君が自分のキャラクターに、他人やモンスターに話しかけさせるという決断を下したなら、それは非戦闘遭遇なのである。
探険
キャラクターたちが遭遇と遭遇の合間に世界を探索することを探険という。君は自分のキャラクターがどこに向かって旅をするか、あるいは次にどんなことを試みるかを決定する。探険はDMと君との会話のやりとりという形式で行なう。君はDMに対し自分のキャラクターにさせたいことを告げ、DMは君のキャラクターの行動によってどんなことが起きたかを君に告げる。
たとえば、ちょうど今プレイヤー・キャラクターたちが暗い裂け目の底に降り立ったところだとしよう。DMは、裂け目の底から暗闇へと延びている3本のトンネルが君のキャラクターに見えることを説明する。君は他のプレイヤーたちと相談して、どのトンネルに最初に入るかを決め、君のキャラクターたちの行き先をDMに告げる。これが探険である。君は他にどんなことを試みてもいい:モンスターがやってくるようなら隠れ場所を探して待ち伏せを試みてもいいし、目一杯に声を張り上げて「だれかいませんか?」と叫んでみてもいいし、裂け目の底の地面を丹念に調べて、岩塊や苔の合間に何か面白いものが落ちてないか探してみてもいい。これもまたすべて探険なのである。
探険を通じてさまざまな決断を下していくうちに、やがて君たちは遭遇へと辿り着く。たとえば、トンネルのうち1本は、腹をすかせた触手の怪物グリックの巣につながっているかも知れない。もしそちらの方へ進むなら、君のキャラクターたちは戦闘遭遇に向かっていくことになる。もう1つのトンネルは魔法で施錠された扉に続いており、それを突破しなければならなくなる─こちらは非戦闘遭遇である。
ダンジョンやその他の冒険の舞台を探険している間、君は以下のアクションのどれかを試みることになるかも知れない:
プレイの例
以下は典型的なD&Dのゲーム・セッションの様子である。冒険者たちは遺跡を探険している。そこは古いドワーフの砦で、今はモンスターが棲み着いている。このセッションのプレイヤーは;
デイブ:ダンジョン・マスター;
トビー:アマールというヒューマンのファイターのプレイヤー;
カム:ハーフリングのローグ、イシドロのプレイヤー;
ダニーン:セリッサという名のエラドリンのウィザードのプレイヤー。
デイブ(DM):「古い石段は30フィートほど登ったところで山腹の中へと続いている。石段に沿って、水しぶきを上げる冷たい小川が洞窟の中を流れている。この石段は大きな石でできた扉の前で終わっている。扉の表面には髭面のドワーフの顔が彫刻されている。扉は約1フィートほど開いたままになっている。近くの壁に据え付けられた腕木には、青銅製の銅鑼(どら)が吊り下げられている。さて、君たちは何をする?」
カム(イシドロ):「おいらは石段をゆっくりこっそり登って行って、扉の開いてるところから中を覗き込むよ」
ダニーン(セリッサ):「私は銅鑼をよく調べてみたいです」
トビー(アマール):「んじゃ、俺はイシドロに何かがあった時に備えて、少し下がったところで様子を見てるとするか」
カム(イシドロ):「だいじょぶだって。なにしろおいらはプロだかんね」
デイブ(DM):「OK、まずはセリッサから:銅鑼は青銅製で、使いこまれた古いものだね。その傍らには小さなハンマーがぶら下がっている」
トビー(アマール):「触るなよ!」
ダニーン(セリッサ):「触らないよ! これって呼び鈴みたいじゃない。モンスターに私たちが来たのを知らせても意味ないし」
デイブ(DM):「OK、次はイシドロだ:君はこっそり動こうとしてたんだよね。カム、〈隠密〉判定をして」
カム(イシドロのために〈隠密〉判定をロールする):「22だね」
デイブ(DM):「イシドロはとても静かに動けたね」
デイブはイシドロの〈隠密〉判定の結果と、隣の部屋にいるモンスター(DMであるデイブだけがその存在を知っている)の受動〈知覚〉判定値とを比較する。カムのロールはモンスターの受動〈知覚〉判定値を上回ったので、モンスターはハーフリングがそこにいることに気付かなかった。
ダニーン(セリッサ):「それで、何が見えたの?」
デイブ(DM):「銅鑼のところにいる君にはわからないよ。イシドロ、君が扉の開いてるところから覗き見ると、太い柱の並んだ大きな石造りのホールが見えた。部屋の中央には、薄暗く燠火(おきび)の灯った大きな炉がある。ハイエナのような顔をした獣じみた人型の生きものが4体、炉を囲んで座り込んでいるのが見える。それからもう1体、大きな動物が近くの床で眠っている。こちらは本物のハイエナみたいだけど、普通のよりずっと大きい。ハイエナ人間たちは、槍と斧で武装している」
トビー(アマール):「ノールだ! 生かしちゃおけねえ」
ダニーン(セリッサ):「先に進むには戦わないといけないみたいですね。勝てそうかな?」
カム(イシドロ):「もちろん。楽勝だね」
デイブ(DM):「じゃあ、扉の向こうに入るってことでいいかな?」
プレイヤーたちは全員同意する。
「中に入る直前に、君たちのキャラクターがどこに立っていたか教えて」
プレイヤーたちはそれぞれ自分のキャラクターのミニチュアを、デイブがこの遭遇のために用意したダンジョン・タイルの上に並べた。彼らは今、ノールがいる部屋のすぐ前にいる。
トビー(アマール):「よし、3つ数えたら突入だ。1……2……3 !」
デイブ(DM):「君たちはノールの不意を突いた! 全員、イニシアチブをロールして。さて、こいつらに勝てるかな?」
この後、何が起きるだろう? アマールとイシドロとセリッサは、ノールどもを倒すことができるだろうか?
それは、プレイヤーたちが自分のキャラクターをプレイする腕前とダイス運次第である!
基本システム
君が振るった剣はドラゴンを傷つけることができただろうか、それとも鉄のように堅い鱗に跳ね返されてしまっただろうか?
君はオーガに荒唐無稽なハッタリを信じ込ませることができるだろうか、激流を泳いで向こう岸に辿り着くことができるだろうか?
こうした行動の成否は、非常に基本的かつシンプルなルールを用いて判断する:まず、君は自分のキャラクターにさせたいことを決定し、その内容をダンジョン・マスターに告げる。それを受けDMは君に判定を行なうように告げ、同時に君がどれくらいの確率で成功できるかを(つまり、その判定の目標値を)決定する。
君は20面体ダイス(d20)を1個ロールし(振り)、出た目にいくつかの数値を加算した結果が、DMの決定した目標値以上の値であれば成功となる。以上!
基本システム
1. d20を1個ロールする。できるだけ大きな値が出るように!