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文:柳田真坂樹(骰拾陸) 絵:チョモラン
プロローグ
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DM
の腹積もり
いつだって不安なのだ。DMってのは。
使うルールに慣れていようが、メンバーがおなじみだろうがそれは変わらない。期待だってあるけど、失敗した時のことも頭にある。心配ごとの数を数えていけばキリが無い。
キャラクター・クラスはバランスよく揃うんだろうか、話の糸口にうまく乗ってきてくれるだろうか、キャラクター同士でのやり取りはキマってくれるんだろうか。公式ミニチュアの代わりにぬいぐるみ使っても納得してくれるんだろうか、そもそもセッションはおもしろくなるんだろうか、などなど。
けれど。
冒険のデータを揃えて、使うシナリオは読み通して、そしてルールブックを揃えれば、とりあえずDMをするには準備は充分だ。
セッションを運営する役割は、決して“DMのみ”の役割じゃない。DMってのはあくまでマスターという役割を割り振られた、プレイヤーと平等なセッションの参加者。一人で何もかもやらなければならないって気負いなんか必要ない。
そう割り切ってしまって良いと思う。うむ、心は落ち着いた。
今回の冒険で使うシナリオはホビージャパンから刊行されている、D&Dシナリオ集「A Seven-game Match」に収録されている「スフィアパイクの扉」と言うシナリオだ。
では、さっそく互いにセッションを行なうキャラクターたちを見てゆこう。
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イーヴァル・ロウ、若きバーバリアン
「見えた、グレイ・トーチが見えたぞ!」
船首の見張りが声を張り上げた。明けゆく空とうねる波の間、イーヴァルはその眼に確かに沈むことない星の輝きを捕らえた。
航海の間、船の護衛をたばねてきた“大親父”が誇らしげにつぶやく。
「あれこそが、グレイ・トーチの明かり。トーチ・ポートの魔法使い達が灯し続けている明かりだ。どんな嵐の夜にでも決して消えることのない灯火だ」
「どんな嵐の夜にでも、だと?」
大親父はうなずく。
「地獄の穴から連れ出してきた大盗賊の魂が燃えてるんだと」
北方の蛮人は水平線に浮かぶ光に眼をやった。暁に染まる空の下、星の光は薄れても、灯火の輝きは衰えない。
「
「ワシの聞いた話じゃ、
まわりの客や護衛はてんでに好きなことを言う。
イーヴァルは傍らの大棍棒の柄を握りなおした。
族長だった父親に死なれ、その跡目争いのゴタゴタから逃れて数ヶ月。氷河の大地を後にして、若者は新たな土地に足を踏み出そうとしていた。
――いかなる困難があろうとも、かついだ大棍棒で打ち開けぬはずはない、おれはここで己の運命を試すのだ。
| イーヴァル・ロウ、人間の男性、バーバリアン2レベル。中立にして善。 バーバリアン(蛮族)といってもD&Dではいわゆる野蛮人ではなく、物語の中心となる文化圏よりも逞しく粗野な文明出身の獰猛な戦士のことだ。 主な能力は“激怒” と“高速移動” 、《強打》 、《薙ぎ払い》 そして“識字能力の欠如” 。重い鎧は着られないけれど攻撃能力の瞬間最大風速はそれを補って余りあるハズだ。 |
イーヴァル :おれの名はイーヴァル。北風の向こう側からやってきた。【筋力】は高いけど【耐久力】はそこそこ。体格はいいけど、やや細身なんだろうな。得物は高品質のグレートクラブにチェインシャツ。
DM :了解。じゃ、導入いくね。
イーヴァルの乗った船は数週間ほど航海して、トーチ・ポートの港に着いたところ。君がこの街について知っているのは船の上で聞いた噂話のみ。
イーヴァル :つまり?
DM :グレイ・トーチという魔法使いの塔があるとか、東街と西街に分かれていて、別々の統治者が統治しているなんてこととかだ。
トーチ・ポートとは? |
DM :港の桟橋に着くとイーヴァルたち傭兵をまとめていた“大親父”が給金をよこす。『儲け話がなかったらまた顔出しな』と塩辛声で君を船から追い出した。
桟橋を降りると、あたりはごった返す人と荷物で一杯だ。そして、風に乗って肉と香辛料の焼けるいい匂いが漂ってくる。匂いの元は酒場、その看板の字は……。
イーヴァル :あー、ストップ。DM。
DM :んっ?
イーヴァル :おれは字が読めん。
DM :そうだっけな(苦笑)。港では君の腰くらいの小僧が、船荷のチェックをして、文字を読み書きしてるってのに。
イーヴァル :「やれやれ、こんな蛇がのたくったようなので話をするってんだから、連中たまったもんじゃないぜ」と、ぼやいておこう。まぁ、看板の形や雰囲気で酒場とはわかるだろ。
DM :そのとおりだ。その酒場はイーヴァルにとってごくなじみ深い雰囲気の場所。つまり汗の臭いや怒号、笑い声が一杯で、ところどころでジョッキの触れ合う音がするって感じ。かなり混んでいるね。店員見つけるのに〈視認〉判定
が必要なくらいだ。
イーヴァル:……出目が1、修正値足しても難易度5まで。
DM :見つかんない。周りもそうみたいだね。酒や肉が来てなかったりする。
イーヴァル :隅の席に腰を落ち着けて、いなくなった隣のヤツの皿から骨をひろう。「連中、肉の食べ方って物を知らねえな。髄を残すとはもったいない」。腰の手斧で削って中を吸う(ちゅるるる)。
DM :「そこのアンタ!残飯あさるのは勝手だけど、アンタ自身の注文はどうしたのさ」って怒鳴られたね。さっきは見つからなかった店員が君を見つけたようだ。
イーヴァル :(ちゅるり)あー、このジョッキを三つに。あと、この皿と同じもの(本人至ってマイペース)。
DM :給仕は背の低い赤毛の娘で、垢じみたブラウスの袖を肩口までまくり上げている。声だけ聞くとまるで少年のようだ。顔は勇ましいが年は若い。
「時間がかかるよ、すぐできんのはジャガイモね。あと、来なかったら呼んで。アタシ達も覚えきれてないからさ」と、そこまで言ったところで、厨房から声がかかったようで返事を怒鳴り返すとスタスタと去っていった。
イーヴァル :それじゃちびちびとやりながら周りを観察してよう。
DM :さて、この酒場には他にも何人かのプレイヤー・キャラクターがいる。そのうちの一人こそが、サーリア。君だ。
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サーリア、優美なる求道者
サーリアが住み慣れた集落を離れるのは久しぶりだった。
彼女は普段森を出ない。出ることはあっても、街を訪れることは少なかった。エルフの集落ならまだしも、人間の都市はあまりに騒々しく、精神と肉体を調和させる妨げになる。そう考えていたからだ。
けれど今、サーリアはその喧騒の只中にいる。
| サーリア、エルフの女性、モンク2レベル。秩序にして中立。 モンクとは己の心身を練磨することで、武器と防具を使わず戦う術、驚異的な運動能力、そして数々の超自然的な能力を身につけた冒険者だ。サーリアもPCたちの中では最上級の運動能力を持っている。また、エルフの種族的特徴により弓(ロングボウ、ショートボウ)と剣(ロングソード、レイピア)に《習熟》 している。主な能力はモンクとして連打 、身かわし 、《迎え討ち》 、《朦朧化打撃》 。エルフの能力として夜目がきくということや探知系の技能へのボーナス、心術呪文 への抵抗能力などを持っている。トーチ・ポート近辺のエルフ集落の出身。 |
DM :サーリアは、トーチ・ポートの近くにあるエルフの集落に住んでいたんだ。そこで肉体と精神を調和させる修行を積んでいたというわけ。
そんなサーリアの元に、ある日“樺の貴婦人”という名のドルイド
がお使いごとを頼みに来た。トーチ・ポートにいるエメネリア
というドルイドに香草を届けてくれないかってね。
サーリア :わたくしがちょうど朝の鍛錬を終えた頃にいたしましょう。森の中の空き地で息を整えている所に使いがきたというシーンがよさそうね。
DM :なら、“樺の貴婦人”の下僕である鹿が、つたで編んだ籠をくわえて来る。
サーリア :使いの仕事自体はお受けいたします。ですが、何か特別なものなのかしら?
DM :ハーブ自体は特別なものじゃないけど、期日がある。行商に預けるつもりだったのが忘れたんだってさ。確実に届けたいので動物を使いに出すわけにもいかないとのこと。
サーリア :届け先のエメネリアについて、わたくしはどんなことを知っています?
DM :この集落のエルフと外の人間との間に生まれたハーフエルフ。今はトーチ・ポートのヘッジ・ドルイド(生垣ドルイド:森林ではなく文明域に住み、自然との共生を図るドルイド)をしている。
サーリア :「ああ、あの子のことね。どんな風に立派になったのかしら」。と、さっそく出発しますわ。
DM :OK。道中は特に何事もなく、トーチ・ポートの北西、門に程近い林に着く。向こうはサーリアのことを見てすぐに判ったようだが、君は彼女に会ってもしばらくは彼女のことがわからなかったよ。子供の頃の顔しか覚えていなかったからね。
サーリア :ハーフエルフとエルフの成長の差、ですわね。
DM :エメネリアは届け物の礼を言うと、納品しに行くついでといって食事に誘ってくれる。
「人里には人里なりに良いものがありますよ。森の皆様にはちょっと騒々しい場所なのですけれど……」。
サーリア :いろんなものを見て回るのも修行になりますわ。ご一緒します。
DM :君たちはトーチ・ポートの北西門を通り港へと向かう。やがて視界に入ってくるのが、一軒のひどくやかましい酒場だ。看板には“ブレイヴ・クルーズ・イン(勇敢な船乗り亭/Brave crue’s Inn)”とある。
どうにもそこはドルイドらしからぬ、そしてエルフらしからぬ場所だね。二人の目の前で、店からよろめき出た酔っ払いが、道行く人にぶつかって怒鳴られてるってありさまだ。
サーリア :随分と騒がしいところですわね(顔をしかめて)。エメネリア、ここ?
イーヴァル :それはどこ? おれが飲んでいる酒場の近く?
DM :イーヴァル、君のいる酒場だ。看板の字は読めなかったけどね(笑) エメネリアはサーリアを促して言う。「こちらの料理に私のハーブを使っていただいています。(小声で)荒っぽく見えますけど、とてもおいしいんですよ」
イーヴァル :特に髄が(ちゅるる)。
DM :や、それは料理じゃない(きっぱり)。戸を開けると中にいる荒くれどもがいっせいに2人に注目する。イーヴァルも入ってきた場違いな二人には気がつく。
サーリア :荒っぽく見えますわね、本当に(タメイキ)。
DM :続きは他のメンバーが来てからのお楽しみとしよう。次の人は少し時間を遡る。
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ガーリン、徳高き陽光の僧侶
若いドワーフである。瞳にははつらつとした、そして穏やかな慈愛があった。誇らしげにそらす胸には太陽神ペイロアの聖印、黄金の日輪が輝いている。
| ガーリン、ドワーフの男性、クレリック(ペイロア)2レベル。中立にして善。 クレリックとは己の奉じる神格や理念に身を捧げた敬虔なる冒険者だ。傷や病気を癒したり、敵から仲間を守護したりする信仰呪文の使い手であり、さらに戦闘の訓練も受けている。 主な能力は、信仰呪文 とアンデッド退散 。また、このパーティでは数少ない重装鎧および盾 の使用者でもある。ドワーフという種族は強靭で魔法や毒に強い。また、完全な暗闇の中で物を見る“暗視”や、近くを通っただけで石造建築の不審な点に気がつく“石工の勘”という能力も持っている。 トーチ・ポート在住。 |
DM :ではガーリン。君の所属しているヒルガ聖堂はトーチ・ポートにある神殿で、特定の神格じゃなくさまざまな神を祭る万神殿だ。とはいえ信仰の中心は太陽神のペイロア
となっている。ペイロアの示す治癒と慈悲は市民が求めるものだからね。
君は先だって、上位の司祭から共同墓地の石塀の補修を任せられたところ。ドワーフのつてを使って石塀補修の見積もりと手配を頼むというわけだ。
ガーリン :行った、見た、鑑定した。“石工の勘”もある、いかがかな?
DM :ざっと見積もって250から300gpほど。
ガーリン :たとえ聖堂といえど、それだけの金額はすぐには出せぬなあ。墓守に聞いてみるぞ。「この壁の穴によってお前達は不便しておるのだな」。
墓守(DM) :あのー、そのー。正直に申し上げると不便はしておりません。
ガーリン :ふむふむ。
墓守(DM) :棺桶入れるときに遠回りしなくていいので。
全員 :ちょっとまて。
DM :他には墓荒らしが入りやすくなってしまっている。副葬品は盗まれて死体は野犬の餌になったりとかね。恐ろしげな場所となったせいで墓守も見回りをサボる始末。
ガーリン :人に嫌がられる仕事ほど高い給金をもらわなければな。今いくらほどもらっておる?
DM :1日1sp
。
ガーリン :1日1spで命をかけろとは言えんなぁ。戻って報告をするぞ。「それがし思いますに、壁の件もありますが、ともかく墓守にもっと給料を払ってやりやる気を出させる必要があるかと」。
司祭(DM) :話を聞いた司祭はいちいちうなずいて話を聞くと、深く息をついた。「よろしいわかった。幸い、石壁の補修についてはファブスター卿という貴族のかたが寄進を申し出てくれている。ガーリン、お主がこの件なしとげい。造った石塀にはファブスター卿の名を冠すようにな。」
ガーリン :「は、その任それがしでよろしゅうございますか?」。〈交渉〉技能高くないぞ。
司祭(DM) :ううむ(悩)。わしはおぬしの篤実な人柄も知っているし、同族にくらべ人当たりもよいのは知っている 。だが、ドワーフの性で、時にぶっきらぼうな物言いをしてしまうのも知っておる(笑)。
ガーリン :よくおわかりで(笑)。
司祭(DM) :幸い、西町
に舌の良く回る男を知っておる。前にも幾度か仲立ちに立ってもらったことがあるのだ。その者を訪ねよ。
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イスカ、よろず交渉人
喧騒渦巻く酒場の外、街路に張り出した屋根の下。昼から一杯引っ掛けている男がいる。テーブルに放り出した足には柔らかなブーツを履き、平服の下には皮鎧がのぞく。繊細な顔立ちにはエルフの血がうかがえるが、その顔に浮かぶ不敵な自信は短命なる人間のもの。
傍らには長さ10フィートに及ぶ長槍が軒先に立てかけられ、下げられた旗が潮風にひるがえりこう記されている、
『よろず揉め事、御引き受け致します』
| イスカ、ハーフエルフの男性、ローグ2レベル。混沌にして中立。 ローグとは隠密の技術や己の機転など、腕っ節以外の技術で戦いを勝ち抜く狡猾な冒険者のこと。 彼は急所攻撃 、罠探し 、身かわしといった特殊能力に加え、ハーフエルフの特性を生かし、今のところ対人系技能(〈交渉〉、〈情報収集〉、〈真意看破〉、〈はったり〉)を活用している。特に〈交渉〉はさまざまなボーナスにより修正値が+11ほどに。このレベルでは非常に高い修正値だ。旗ざおにしているロングスピアは敵の間合いの外から急所攻撃を行なうためのものでもある。トーチ・ポート在住。 |
イスカ :俺の名はイスカ。西町の揉め事を収める交渉人だ。当然盗賊ギルドともつながりはあるが、盗みの仕事は街中ではしていない。旗ざお背負って盗みはできん。
イーヴァル :盗みは穴倉や遺跡の中のみってことか。しかし目立つな、その旗は。
ガーリン :いや、すぐにわかってありがたいぞ。「もし、そこなお方、交渉人のイスカ殿に相違ありませぬか? 」
イスカ :(視線を上げて)いかにも、何か御用かな。
ガーリン :ファブスター卿という貴族に寄付を願うのだが、交渉事を心得た人の同行を願いたい。手付けはここ、そして寺院の身分を証明するケープがここにある。
イスカ :ほう、貴族から金をはたりとる手伝いを。
DM :妙に楽しそうだな、君。
ガーリン :善意による寄進だ。
イスカ :モノは言いようにございます、それがしの最も得意とするところで。
ガーリン :善・意・に・よ・る・寄・進!
イスカ :もちろん了解しております(しれっと)。
DM :(ホントかよ)。じゃ、次はソフィーア。
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ソフィーア、魔法の学徒
トーチ・ポートの東町、市庁舎のそば。高さこそグレイ・トーチには及ばないが、そこには立派なレンガの塔がそびえ立っている。
“東町の魔法院”である。
その門をから出てきた若い女学徒が足早に石畳の道を歩いてゆく。簡素なローブに外出用の濃紺のケープ、そしてやや険しい面差し。街路に靴音を響かせ、目指す先は貴族街。
彼女の名はソフィーア。目覚しい才能により、若干19歳にして余人に認められるだけの魔法を修めた才媛だ。しかしなお学び足りないものがあるのか、いまだレンガ造りの塔を出る気配はない。
だが、今日は違った。
| ソフィーア、人間の女性、ウィザード2レベル。秩序にして中立。 ウィザードとは研究と学習によって魔法を操る秘術呪文 のエキスパート。また、高い【知力】による広範囲な〈知識〉でパーティの知恵袋にもなる。特殊能力はもちろん呪文。そのレパートリーと効果についてはおいおいと明らかになってゆくだろう。 時々モノを睨みつけるような目をするせいか、やや人付き合いが苦手のよう。実はこのパーティで一番【魅力】が低かったり。 トーチ・ポート在住。 |
DM :トーチ・ポートにはグレイ・トーチ(冒頭にあった灯台だね)という魔術師の塔があるのだけど、そこは世俗に関わらず、高位の魔術師のみが加盟を許されている。だから、一般の魔術師は別のギルドに所属している。
その魔術師ギルドには二つあってね。一方が東町の魔法院。公共的な魔法のサービスを行なうと同時に魔法学校も兼ねている。
ソフィーア :私はその魔法院の院生です。
DM :OK。一方、西町では通商ギルドで魔法使いが多く雇われており、彼らがサービスを行なっている。こちらは完全に実用技術として必要に応じて魔法を使うんだ。親しみ半分、からかい半分で“魔法屋”とか呼ばれているね。
ソフィーア :市場的なその意義は認めます。ですが、秘術の技を切り売りするばかりでは魔術師と呼ぶに値しませんわ(つーん)。
DM :……あー、なんだ。その、“つーん”てのは。
ソフィーア :キャラクターのロールプレイです。はやりですから。
DM :……一応、確認しておいてあげよう。デレはどこだ? いや誰にだ?
ソフィーア :主に呪文書や魔法のアイテムにです。そのことを想うだけで胸が高鳴ってしまいます。
DM :うるさいだまれいろんなものにあやまっておけ。いけしゃあしゃあとずうずうしいこと言いやがって。
イスカ :演技が足りんぞ、DMはもっと恥ずかしいのをお望みだ。
ソフィーア :鋭意努力します。つーん(淡々と)。
DM :……粛々とセッションを続ける。今回ソフィーアは人づてにファブスター卿という貴族に呼ばれた。
ソフィーア :どなたからの紹介でしょう?
DM :ファブスター家の家令だね、知り合いだ。
ソフィーア :ファブスター卿について知っていることを確認します。〈知識:貴族および王族〉、〈知識:地域:トーチ・ポート〉、必要ならば〈知識:歴史〉。キャラクターは知っていてもプレイヤーは知らないことがありますから。
DM :(ころころ)まず、君が普通に知っていることからだ。
ファブスター家は東地区の名家でコンラート伯家(東町の統治者)がこの城塞都市を作ったころから仕えている一族だ。当主のファブスター卿は通商に長けていたけど、現在は一線を退いている。市民の印象では趣味人として知られているね。先祖代々芸術や工芸などに造詣が深い。
ソフィーア :では、今の趣味は?
DM :普請道楽。集めた骨董などにあわせて邸宅の内装を改築中だ。そして、君が呼ばれたのはその普請道楽についてらしい。
ソフィーア :(キャラクター・シートを見て)まぁ、素人ではないという程度ですね、私のその分野についての知識は。
DM :ソフィーアが赴くと、ファブスター卿は庭のあずまやで迎えてくれる。かたわらには東からの舶来品らしいティーセットの準備がしてあるね。日差しはあたたかく、本宅の方からは改築の音がのどかに聞こえてくる。
ソフィーア :どんな方ですか?
DM :以前にも会っていて、そのときの印象も総合すると、余裕ある貴人で君には裏表のない人のように思えるよ。君の魔法院入りにも一言添えてもらった。
ソフィーア :なるほど。すでに恩があって今まで信頼してきたということですね。けれど、私の〈真意看破〉は低いのです。その信頼を鵜呑みにはできません、……不穏な設定ですね(むぅ)。
DM :やかましい、不要な深読みするな(笑)。卿は席を勧めつつ近況を聞く。
ソフィーア :問いにはてきぱきと応えます。そして手早く本件に入ってもらいます。
DM :さて、そこでなんだ。
とりあえず殴ってみましょう
DM :(全員を見回して)。ファブスター卿はここから依頼をするつもりなんだけど、まだPCが全員合流していない。ありていに言って、あずまやでのお茶会に他のメンバーが同席するなり、つなぎをつけるなりして欲しいんだけど……、どうしよう?
ガーリン :愚僧とイスカはいずれファブスター卿のところに行く。だから、訪問したときがまさしくそのお茶会だったとすればよいのではないかな。
イスカ :ふむ。そうすると、エルフと蛮人に“つて”がつけられんな。つまり、知り合うなら今、このブレイヴ・クルーズ・インで知り合う必要があるということか。
サーリア :困りましたね……。
イーヴァル :ここらで乱闘騒ぎでもあるとちょうどいいんだけど……。「そろそろエールのお替りがほしいな」と言ってみよう(にま)。
DM:よし乗った(にや)。先ほどの赤毛のウェイトレスが、テーブルに肉とジョッキを置いてゆく。
イーヴァル :よいしょと。
DM :と、伸ばした手の先でジョッキと肉がかっさらわれた。別のテーブルにいた船乗りのようだ。
イーヴァル :「あー、それはおれの肉と酒なんだがな」と、ややのんきな口調で。
DM :船乗りはイーヴァルを見ると馬鹿にした顔で「そいつぁ、悪かったな」とエールをあおる。そしてぶくぶくとうがいをした後ジョッキに戻してイーヴァルに渡す「ここは早いもんがちなんだよ、いなかもん」。
ガーリン@店の外:たいへんヨロシイ(うんうん)。
イーヴァル :そのジョッキを受け取り、羽織った毛皮でふちの所を丁寧に拭う。
DM :ほうほう。
イーヴァル :おれも一口含んでぶくぶく。
DM :?
イーヴァル :でもってそいつの顔に吹きかける。
DM :!
イスカ@店の外 :すこぶるヨロシイ(うんうん)。
サーリア :中にいるわたくしはそれどころではないのですけどー!?
DM :一瞬店中が静まり返った後、船乗りは雄たけびを上げて殴りかかってきた!
サーリア :やっぱりー(わたわた)。
DM :泣き言言わずに乱闘いくよー!
とはいえ、ここは本格的な戦闘というわけではなかったのでダイジェストで。
まずはサーリア。エメネリアを守る位置に移動して、自分からは手を出さずに、仕掛けてくる相手に朦朧化打撃を行なうと宣言。
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を試みるが失敗。逃れた船乗りは、テーブルを抱え上げてPC達に投げつけた。が、命中判定の出目がひどくてあさっての方向へ。運悪くその先にいるのはサーリアだった。
(第2回に続く)
| 『トーチ・ポート 事件屋稼業』次回の掲載は10月中旬予定です。 | |
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今回のリプレイはD&D対応シナリオ集「A Seven-game Match」に収録のシナリオ、スフィアパイクの扉をもとに書かれています。このリプレイを見て興味を持たれた方は、ぜひこちらのシナリオ集も併せてご覧下さい。 |