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終わりなき冒険に満ちた都市を発見せよ 『シャーン:塔の街』 2月29日(金)発売!

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はじめに

 本来はドゥラ下層のろくでなしたちをまっとうな道へと導き、更正させるために企図された伝道団。しかし彼らは、箸にも棒にもかからないやさぐれ者を選んでは、生け贄の山羊を探す秘密教団に売りさばいている……。  裕福な学者に雇われた冒険者パーティ。彼らの仕事は埠頭でその学者宛ての荷物を受け取ることだ。ところが、埠頭に足を運んだパーティは何者かの襲撃を受ける。盗まれたアーティファクトの本来の持ち主に雇われた別の冒険者グループだ……。
 どこにでもある錬金術師の店を狙ったごくありふれた強盗事件。捜査にあたっていた冒険者たちはしかし、はるか昔に忘れられた魔王をめから解き放とうとするある盗賊集団の存在に行き当たる。さらに調べを進めるうちに、パーティはいやおうなく街の暗部へと足を踏み入れてゆく……。
 シタデルの騎士がドロアームのエージェントたちに襲われた。たまたま通りすがった冒険者グループが暗殺者の集団を撃退する。すでに虫の息の騎士は、謎めいた護符を冒険者たちに託して言う..これを騎士長に届けてほしい、と。
 とある冒険者が世を儚み、ゼンドリックの奥地に骨を埋めようと最後の探検行を企図した。彼は運命を共にしてくれる仲間を募っている。いっぽう、この冒険者に遺恨を持つ翡翠爪騎士団は、さっそく妨害と復讐の算段を始めた……。
 このように、“塔の街”では日々、百もの冒険が繰り広げられている。幾多の英雄が登場しては死に、数多の宝物が掘り起こされ、盗まれ、持ち主の手に取り戻される。悪漢たちは絶えず姦計をめぐらせ、隙あらば街を悪巧みの餌食にしようとしている。はるかな高みに浮かぶスカイウェイから炎暑にうだるコグまで、各層の街区という街区には種族も国籍もてんでばらばらな幾千もの人々がひしめき、林立する塔のはざまで働き、遊び、飲み、食い、そして死んでゆくのである。
 シャーンにはさまざまな呼び名がある。“塔の街”、“ナイフの街”、“失われた魂の街”、“千の目を持つ街”、“ゼンドリックの玄関口”、“破滅の入口”……。
 この街は畏怖から嫌悪にいたるまで、さまざまな感情を喚起する。壮麗な建築、いたるところで目にする飛行魔法、人々でにぎわう塔、絢爛と咲き誇る文化や料理や商業、そして、失われた大陸ゼンドリックとの地理的な近さ。そういったものすべてが、全世界から巡礼者と冒険者を招き寄せてやまない。いっぽうで、高い犯罪発生率、数多の娯楽が生み出す狂騒、あまりにも有名な指導層の腐敗、下水層の下に巣食う太古のモンスターによる脅威。それらは冒険心の乏しい人々の恐怖を呼び起こし、かつまた非難を誘うのである。
 シャーンはコーヴェア最大の都市だが、政治経済における最重要都市ではない。それでも、さまざまな活動のメッカであり、単一の冒険はもとより、1つのキャンペーンを丸ごと展開するのにも格好の舞台となる。この街のガイドブックともう言うべき本書は、建ち並ぶ塔と塔のはざまに展開するキャンペーンに生命を吹き込むことを目的に書かれている。
 第1章:シャーンの歩きかたでは、街の全体像を示す。各街層と、街層を区分する街区、街の歴史や祝祭日といった事どもである。この章全体が、シャーンを訪れる人々に向けた案内の体裁をとっており、街で手に入る商品や利用できるサービスの数々を紹介している。よく言われるように、「金を出して買えるものなら、どんなものでも手に入る」のがシャーンという街なのである。
 第2章:シャーンで暮らすでは、街の各街区をつぶさに見てゆく。各街層を順番にとりあげ、各街区のデータを示し、なかでも重要な場所については特にくわしく説明する。
 第3章:権力と政治では、市議会、市長、ブレランド王家、およびドラゴンマーク氏族がはたす役割を、街の仕組みを解き明かしながら論じてゆく。この章ではまた、陰謀や外交における冒険の可能性についても言及する。
 第4章:法と秩序では、街の秩序を維持するための諸法規とガリファー法典について説明する。
 第5章:ギルドとその他の組織では、プレイヤー・キャラクターが加入したり深く関わったりする組織に焦点を当て、キャラクターのサンプルと併せ、組織に加入することで得られるさまざまなメリットを紹介する。
 第6章:英雄たちと魔法では、この街に住むプレイヤー・キャラクター向けに用意されたルール上のさまざまな選択肢を紹介する。新しい上級クラス、特技、呪文、魔法のアイテム、非魔法のアイテム。これらはPCたちに新たな可能性を示してくれることだろう。
 第7章:モンスターおよび遭遇では、ノンプレイヤー・キャラクター、プレイヤー・キャラクターに脅威をおよぼすことを主たる役割とする組織、そして、街なかで見られる新種のモンスターをいくつか紹介する。併せて、都市環境にはびこるモンスターの種別についても論じる。
 第8章:シャーンのキャンペーンでは、シャーンを舞台にしたキャンペーンを組みたいというダンジョン・マスターにとって役立つ提案や情報を提供する。


シャーンの歩きかた

 コーヴェア最大の都市にしてブレランドきっての名所であるシャーンは、ダガー川河口近くの荒涼たる岩盤の上にその威容を誇っている。“塔の街”の異名にふさわしく雲の垂れ込めた空を突くようにそびえるこの都市は、西と南をダガー川とその支流であるザ・ヒルト(“柄つか”の意)に画された台地のかぎられたスペースを占め、内陸に向かって今なお拡張を続けている。北と東に目を転じれば切り立った崖が街の境界線をなし、街そのものは火山活動が生じさせた深い地溝によって5つの画然たる街域に分かれている。すなわち、西のドゥラ、東のタヴィックス・ランディング、北のノースエッジ、中央部のセントラル高台およびメンシス高台である。街の西端、ダガー川に沿って連なる断崖絶壁の内部や上部には、いわゆる“岸壁地区”(クリフサイド)が築かれている。空を見上げればスカイウェイ地区が浮かび、街にそびえるいくつもの高塔に影を落としている。この都市はまた地下にも根を張っていて、無数の下水道や長らく忘れられている廃墟へと通じているばかりか、さらに深いところには溶鉱炉や鋳造所が集中するコグと呼ばれる領域が広がっている。
 シャーンは“紺碧の空”シラニアと結びついた顕現地帯にある。この顕現地帯は飛行と空中浮揚に関連する魔法を強化する力を持つため、シャーンの魔法的な驚異の多くを可能にしている。飛行を容易にするためにこの街で使われる魔法のアイテムの大半がひとえに顕現地帯のおかげで機能しているのであり、その影響がおよぶ範囲を出れば満足に働かなくなるか、またはまったく使いものにならなくなる。
 シャーンの区域のほとんどは垂直の階層構造をなしている。たとえばメンシス高台は娯楽のメッカとして知られるが、楽しめる娯楽の種類と質は各塔の階層ごとに異なる。高層部(通常、“メンシス上層”と呼ばれる)はオペラ、演劇、交響楽といった高尚な芸術を提供するとともに、モルグレイヴ大学を擁し、さらには作家をはじめとする芸術家たちに活発なコミュニケーションの場を与えている。これに対して中層部(“メンシス中層”)にはもっと通俗的な演しもの――吟遊詩人や曲芸師その他の芸人と、動物を目玉にして一年中興行をおこなうサーカス――を売りにする劇場が軒をつらね、活況を呈している。これが下層部(“メンシス下層”)になるとがらりと様相を変える。劇場街にはストリップまがいのお色気ショーに代表される下世話な演しものをかける小屋が建ち並び、歓楽街はにぎわい、そのほかにも安値でいかがわしいサービスを提供する酒場が無数にひしめいているのである。
 中央高台(セントラル)は最下層を長大な塁壁に取り巻かれ、塁壁の全体にわたって所々に塔が屹立している。塁壁の内側の建物は中心に位置する最も高い群塔に近づくほど高くなり、シャーンという街のど真ん中にいわば人工の円錐山がそびえているような外観を形成している。人口のほとんどを上中流階級の人々が占めるこの高台には、都市行政、最富裕層、および最重要ビジネスの拠点が置かれている。また、各国大使館や銀行、ドラゴンマーク氏族のエンクレーヴもこの街域にある。
 メンシス高台は都市の娯楽の中心であるとともに、モルグレイヴ大学の本部でもあり、かつまた種族のるつぼでもある。シャーンのなかで最も流行に敏感な地区であることは間違いなく、観光客にとっては人気のスポットである。メンシスには周囲を取りかこむ塁壁こそないが、外縁に沿って街域でも屈指の高塔が建ち並んでいる。モルグレイヴ大学のシンボルとも言うべき巨大な円蓋は、高くほっそりとした5つの塔を従えて高台の中心近くにそびえている。
 ノースエッジはシャーンのなかでも最も人口が多い街域であり、塔のてっぺんにある屋上邸宅から、低層にひしめく安アパートまで、ありとあらゆる種類の住宅がそろっている。群塔の最下層近くにある商業地区を除けば、ノースエッジは店屋も犯罪もほとんどない、いたって閑静なエリアである。
 ドゥラはシャーンで最も広い街域であり、ダガー川を見下ろす断崖からコグ西のクレバスに至るまで、西部台地の広大な面積を占めている。ここは同時にシャーンで最も貧しい地域でもあり(ただしコグは除く)、いちばんましな層でも、せいぜいが中流階級でしかない。ドゥラは商家と民家が入り混じり、純然たる居住区からは程遠いが、それでも数多くのアパートや長屋が櫛比し、最下層近くはスラム街と化している。ドゥラの下層にはまた、ダーグーンとドロアームからの移民が大勢住みついており、ゴブリン類その他のモンスター住民からなる界隈を形成している。
 岸壁地区(クリフサイド)は、ダガー川とシャーンの沿岸部を見下ろす断崖絶壁の岩肌に、不安定ながらどうにか取りついているような界隈である。ドゥラのはるか下方に位置するこの地区では諸々の商売が営まれ、またヒルトを見下ろす南の岸壁に掘りぬかれた石窟街からは、いくつもの塔がそびえている。クリフサイドで営まれる商売というのは海運業に直接関係するものか、あるいは船乗りや冒険者その他の渡り労働者に諸々のサービスを提供するものかのどちらかである。
 街の東端を占めるタヴィックス・ランディングは、いろいろな意味で、オリエン氏族が運行するライトニング・レイルおよび通商路の終着点とも言える。この街域の下層は鉄道でシャーンにやってくる旅行者や商人にサービスを提供している。また最終戦争の戦火を逃れてやってきた難民たちに住居を提供するため、1つの街区が丸ごとそうした人々の居住区に割かれている。
 スカイウェイは巨大な力場の円盤に乗って、都市上空に浮かんでいる。テンサーズ・フローティング・ディスク同様、究極の奇跡と見られているのも不思議ではない。これらの円盤もまた、次元界シラニアとつながっている顕現地帯の力により、この都市だけで機能する数々の魔法のアイテムや効果の1つである。スカイウェイといっても雲上の宮殿ではなく、あくまでもシャーンという都市の一部であるから、そこにはシャーン屈指の名門ホテルやレストランが建ち並び、舶来品や高級品を売る店が軒を連ね、街で最も富裕な市民たちが所有する豪邸が威容を誇っている。
 “深層”(デプス)というのは、シャーンの主要高台の下に位置する構造物のうち、クリフサイドとはるか下層のコグを除いたすべてに使われる総称である。“深デプス層”の上部は現在使われているものも使われていないものも含め、得体の知れない者たちが棲みつく下水道が縦横に走り、また、ほとんど忘れ去られた廃墟――地上に塔の建設が始まるはるか昔につくられた集落の名残――が点在している。そこから整備の行き届いたトンネルやシャフトをたどれば、シャーンの最下層にあってこの街の産業の根幹を担うコグに降り立つことができる。現在シャーンに建ち並ぶ塔の基礎部分はこの層のどこかにあるはずだが、幾世紀もの時を経て土に埋もれてしまっている。
 コグはこの都市の脈打つ心臓部であり、もうもうと蒸気をたてる間欠泉や溶岩流や捕縛されたファイアー・エレメンタルを利用した溶鉱炉と鋳造所がひしめいている。シャーンに建ち並ぶ塔の基礎部分よりもはるか下に広がり、都市をいくつかの高台に分けている巨大な地溝の斜面に沿ってつくられたこのコグには、古代遺跡の一部と天然の洞窟が混在している。


『シャーン:塔の街』 プレビュー(発売日まで定期的に更新します)
※プレビューの文章はいずれも製作段階のもので、製品版とは一部異なる可能性がございます。予めご了承下さい。
垂直都市 シャーンを訪れる理由-1- シャーンを訪れる理由-2- 街の歴史
シャーンで暮らす 法と秩序
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