GAME JAPAN 特選ゲーム 「エネミー・ショコラティエ」



今回は、あのCheapass Gamesの最新作、ENEMY CHOCOLATIER(敵はチョコレート職人)を紹介します。
Cheapass Gamesといえば、コンポーネントをギリギリまで簡略化して、できるかぎりお手軽価格で面白ゲームを提供することでおなじみですが、今作も例外なくコンポーネントは簡素なものになっています。

まず袋(今作は箱ではなく紙の袋入りです)を開けると、中にはゲームボードが8枚ルールシートが1枚。以上。(もう慣れました。)
でも今回は、ボードの印刷はカラーです。
 これが中心に配置するチョコレート工場のボード

で、これだけでゲームができるはずもなく、例によって自分でゲーム物品を用意します。今回はゲーム紙幣、プレイヤー1人に付き30個ずつの色違いのカウンター、それ以外にレインチェック用のカウンター10個程度と、各プレイヤーの得点を記録するもの。結構多いです。ただ、これだけの物をすべて入れると多分値段は5倍位するんだろうなあ・・・などと考えながら用意します。で、極めつけは、カードが8枚あるのですが、8枚のゲームボードのうちの1枚を、自分で切り取って作ります

自分らは3人でゲームをするので、
・ゲームボード7枚(中に入っているもの)
・レシピカード8枚(中に入っているものを自分で切り取って作る)
・ポーカーチップ3色各30枚(自分で用意)
・6面体ダイス3個(レインチェックのカウンターとして用意)
・20面体ダイス3個(各自の得点を記録するものとして用意)
・チーパスマネー(別売りのゲーム紙幣セット)
これで準備は終了。(このゲームグッズを用意することもCheapassの楽しみ?の1つです。他にも代用できるものがあれば試してみて下さい。)

このゲームは、各プレイヤーは有名な菓子職人の工場で働くチョコレート職人になり、独立して師匠の工場をしのぐ会社を設立するために、師匠に内緒で工場の周りの宅地を買収し、その一方で、究極のチョコレート菓子のレシピを作り、最終的に買収した宅地のポイントが20点に到達、またはレシピを完成させると独立成功ということで、ゲームに勝利します。

ゲームの進め方について説明します。
・まず、各プレイヤーに、ランダムに1枚ずつレシピカードを配ります。(これは他のプレイヤーに見せません)
・各プレイヤーごとに、色別にポーカーチップを30枚ずつと、6面と20面のダイスを1個ずつ渡します。
・先手のプレイヤーを決めます。先手のプレイヤーから時計回りにターンを進行します。
・先手のプレイヤーに$3、次のプレイヤーに$4、その次のプレイヤーに$5というように、順番ごとに$1ずつ増やして、ゲーム紙幣を渡します。
で、ゲームはスタートします。

プレイヤーは、自分のターンが来ると最初に$2の基本給(チョコレート工場の給料)+自分が買収して閉鎖した団地からの上がり分のお金と、ポイントを得ます。
その後、家の買収に入ります。

ゲームボードには、5色の色ごとに道路に隔たれた区画(団地)があります。その団地の中には、数字が書いてある家が複数入っています。

 まるでチョコレートのような団地

家に書いてある数字が、その家を購入する際の価格(ex.3の家は$3)になります。
プレイヤーは各ターンに最大2件まで家を購入することができます。
その区画(団地)内のすべての家を購入したプレイヤーは、その団地を閉鎖して、その団地に書いてある効果を得ます。(ex.給料、ポイント、その他)また、団地を閉鎖すると、その団地内の家を、他のプレイヤーに買われる心配はなくなります。逆に閉鎖していなければ、一度自分で買った家も、$6で他人に買われてしまう可能性があります。(基本的には他人に買われることは断れません。)こうして、得たポイントの合計が20点になると勝利します。

また、各自に1枚ずつレシピカードが配られています。


左のレシピの勝利条件は、茶色の家4件、ピンクの家5件、カーキ色の家3件、赤の家7件の購入。

レシピカードに書いてある4色の色に書いてある数字分の家をすべて購入すると、ゲームに勝利します。レシピカードは全部で8種類。それぞれ組合せは別で、どのカードも合計19件分の家の購入が必要です。(お菓子の名前も書いてありますが、ここでは流します。)レシピで勝利する場合は、団地閉鎖で得られるポイントは関係ないので、団地を買い占める必要は無いのですが、収入の問題でやはり団地の買占めが必要な場合があります。

団地を買占めて閉鎖すると、給料とポイント以外にも特殊効果がありますが、ここでは割愛します。

実際にゲームをしてみると、プレイミスいじめ(※)が無い限り、大体10周を越えたあたりから、ほとんどのプレイヤーが、15~17件の家を購入済みで、ポイントまたはレシピでのリーチがかかって来て、いかに他人に上がらせないように、自分に有利な買収ができるかの駆け引きが始まります。ここで、マルチプレイゲーム独特の心理戦や外交戦が繰り広げられます。結局は、チョコレート工場とか、職人とか独立とか、完全に忘れ去ったころにゲームが決着するところが面白いです。

(※)多人数ボードゲームの場合に稀に起きる現象。全員を敵に回すと、普通は勝てない。

ポイント上がりを狙っても、レシピ上がりを狙っても大体同じターンに勝負どころが来るバランスも絶妙です。また、ゲームボードの配置方法は毎回ランダムなので、約100通りのゲームが楽しめます。

ということで、Cheapassの最新作を是非ともお試し下さい。

プレイ人数:2-6人
プレイ時間:約45分

私的ゲーム評価
ルール難易度:易(簡単に覚えられます)
戦略性:高(戦略重視、次に他人との駆け引き)
運:低(ランダム要素は、プレイ順とボード配置とレシピカードだけ)
コンポーネント:良(Cheapassなのにカラー印刷っていうだけで)
言語依存度:低(英語は用語とフレイバーのみ)