気付いたら入っていた。もうパンツをはかないようにする。『カーゴノワール(Cargo Noir)』


4月入荷のゲームは、結構粒揃いでR・ガーフィールドの怪獣テーマのダイスゲームキング・オブ・トーキョーとか、アメリカン・クラシックなサバイブ!:アトランティスからの脱出や、プレイヤーがそれぞれ一斉に世界地図を作るパズルのような楽しさがある「モンド」と、先日出荷したばかりのフランスゲーム大賞受賞作のアートワークの秀逸なブラフゲーム髑髏と薔薇と神経衰弱+セットメイク+競りのシステムが楽しい食材取引ゲームのミャム(割と盲点だった)など、結構な当たり月。
そしてなんといっても先週出荷の世界の七不思議は発売日が決まったとたんに注文殺到で在庫切れ。

※なお、その話題の中心だった世界の七不思議』と、(4月に間に合わなかった……)レジスタンスの体験会を、リニューアルオープンいたします『ロール&ロールステーション』様にて13時より開催しますので、ご参加お待ちいたしております。
場所とかはコチラを参照

カーゴノワールでもって本題。
その世界の七不思議のかげに隠れてしまっていますが、毎回遊びやすいゲームを豪華なコンポーネントでまとめる手腕が見事なデイズ・オブ・ワンダーの新作、
カーゴノワールを紹介いたします。
作者はセルジュ・ラジェ。ブルーノ・フェドゥッティやブルーノ・カタラと組んで、Shadows over Camelotアド・アストラ(Ad Astra)いじわる魔女レース(Wicked Witches Way)なんかをデザインしています。ソロの仕事ですとミステリー・エクスプレスが前作。

時は1950年代。世界をまたにかけたマフィアの密輸がテーマのボードゲームです。

プレイヤーは各国の密輸組織となり、世界中の港で密貿易品を仕入れ、それをできるだけ高く売り、勝利点となるカードを買って、最終的に最も高得点を得るのが目的。


密輸組織は全部で5組織。
中華マフィアのTi Pot Tong、インドマフィアのKali Pakora、メキシコマフィアのTres Spmbreros、イスラムマフィアのAl Kabash、シシリアンマフィアのCasa Nostura。

密輸品は真ん中の倉庫マスに6枚まで在庫できます。


ゲームボードは分割されていて、プレイ人数によって使える港の数が変わります。
人数によってボードを換えるのは、同社のスモールワールドも同じですな。
中心となるのはマカオ/澳門。1999年に中華人民共和国へ返還されるまではポルトガルの殖民地。

ここではカジノで現金を得たり、いらない密輸品と交換で、闇市場の密輸品を手に入れたり、ランダムに密輸品を1枚獲得できます。

そのほかの港は、密輸品を獲得するための競りをしなければなりません。
ランダムに置かれる密輸品の枚数が港によって違うのですが、密輸品は競り勝ったプレイヤーがすべて獲得できるのでかなりの読みが必要。


取り扱う密輸品は
アルコール
武器
自動車
宝石

芸術品
象牙
タバコ
ウラン(!)

の9種類+ワイルド(ジョーカー)。

さすがに8歳以上対象だと「ドラッグ」は無いのね。

枚数はワイルドが5枚以外は、全部14枚ずつ。
売るときはできるだけ枚数が多いと価格が上がります。種類がそろえばより高く売ることができます。


密輸品を入れておくもついてきます。
ちょっと雰囲気いいじゃない!

売った密輸品は価値のある資産へマネー・ロンダリング!
倉庫や追加の船は、価格に対して得点は少ないのですが倉庫スペースが増えたり船が増えたりします。

大体の得点カードは価値と同等の得点になります。
邸宅! ヨット! ナイトクラブ!

これらは複数枚あるのですぐにはなくなりませんが……

銀行や民兵、ショービジネスなどは購入のための額も高いのですが、価値以上に得点が高くなっています。

一番高いのは公国! 国を買うための81価値は、同じ種類で密輸品を9枚そろえなくてはなりませんが、得点は90点!

カードは世界の七不思議と同じサイズなので、スリーブをお求めの場合は七不思議サイズをどうぞ。たしかミステリー・エクスプレスもこのサイズじゃなかったか? あと、スモールワールドの物語と伝説も同じサイズ。


コレは貨物船コイン
製品として金がかかっとる。

貨物船は港に送って、そこでコインを積み上げて密輸品を競るのに使います。
つまり、この船の数が手を伸ばせる港の最大数。
コインは一目でどっちが多いのかわかるように、厚めのプラ製。
しかも金型精度がむちゃくちゃいいうえに専用コインとは……お高いだけある!!

コインは競りのリソースですが、マカオのカジノで獲得するか、得点カードの密輸組織カードが無いと減る一方。


プレイヤーの最初のリソースは船3隻とコインが7枚。
これらは全部オープン情報で、他のプレイヤーからまるわかり

ゲームの手順は簡単で、自分の番になったら、
1:貨物船の解決
港で密輸品を手に入れる。港の倉庫にある品物を、他の人があきらめるまでコインを積み上げて、残っている人がいなくなったら総取り。
あきらめた場合はコインは全回集なのでどこの密輸品を手に入れ、そこにどれだけ突っ込むかは練りどころ。

マカオの場合は、カジノでコインを手に入れても、闇市場の密売品と自分の手元の密売品とを1枚交換しても、ランダムに密売品を引いてもよし。
同種セット狙いなら間違いなくここが安全パイ

2:手に入れた密輸品と在庫を売り払って得点カードにする。
在庫は倉庫の部屋の数だけなので、ここで売れ残ったら捨てなきゃならない。

3:船を港へ送り込む。
ほしいものがある港へ自分の分を配置します。
競り値をつけるのもこのとき。

コレを繰り返すだけ。

ただ、考えどころは色々あって、密輸品は裏表とも印刷されているので、それぞれの種類が世の中に流通している枚数はわかっています
他のプレイヤーが、何を集めているのかも判りますし、どこの品物が(次のそのプレイヤーの番に)欲しいのかもわかります。

得点カードは枚数に限りがあるのでなるべく早めに買っていきたいしところで、しかもお釣りは無いからうまく密輸品セットの組み合わせを作って効率よく買いたいところ。
特に購入するための密輸品の価値よりもポイントが高いカードは1枚ずつしかないので要注意。
これも公開情報なので、他のプレイヤーの現在の点数も計算のうちにできるわけです。

ラウンド数は10ラウンド~11ラウンド。
コインの獲得も競りにもターンと船を使うので、時間リソースも考えなければなりません

さて、ここまでの情報を見て、「今すべきなのは何なのか?」と言うのがプレイヤーのお仕事。
武闘派マフィアの時代は過ぎて、経済マフィアの時代な感じ。

自分の密輸品在庫を充実させて、得点にすべきか?
他の人を邪魔するために、船を送るべきなのか?
はたして、積み上げたコインの枚数は適正なのか?
「時間」というリソースをかけて積み上げたコインを引き上げて、他の競りに使うべきか(他のプレイヤーに浪費を強いさせたとすべきか)?
資金を増やすためにマカオのカジノに行くべきか?
マカオで在庫のセットを同じ種類にするべきか、ほかの事に船を使うか?
袋に残っている密輸品コマの比率的に、じつはランダムに引いても分がいいのではないか(「運ゲー扱い」は「想定不足」でしかないわけですぜ)?
保険で同じものが手に入る港2ヶ所に船を送っておくか?

……と、やることは単純ですが、悩むべきところは多い感じ。

港の数でうまくコントロールしていますが、それでも人数によってもプレイ感が若干変わると思います。
でも、競り要素ありで2人でも楽しめるところは評価すべきところ。
無論、3人、4人、5人でも楽しめますが、3、4人がベストな感じ?
あと、何回か遊ぶと色々と小さなゲーム的な工夫が見えてきて評価が変わるかも。
特に、得点カードの価格と売却表は絶妙なんじゃないかなー?

何より専用コインやむちゃくちゃ高品質な印刷のカードやボードやコマ類と、豪華なコンポーネントでプレイもしやすく、ざくっと読んだら(もしくは読みながら)すぐプレイできて、なおかつ駆け引きが楽しめる良ゲームとなっています。
年齢問わずに遊べるゲームを探している人や、若干の運を交えた駆け引きのゲームが欲しい人にオススメです。

カーゴノワール(Cargo Noir)
プレイ人数:2-5人
対象年齢:8歳以上
プレイ時間:30-90分
ゲームデザイン:セルジュ・ラジェ
製作:Days of Wonder
日本語ルールつき
価格:7,000円+税

1件のコメント

  1. webmaster 2011/04/25 9:44 am

    一箇所訂正デス。最初のリソースに気づいたら「ランダムのトークン3枚」が入っていた。
    もうパ(略

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