GAME JAPAN特選ゲーム 「Senji (戦時)」


「Shadows over Camelot (キャメロットを覆う影)」でお馴染みのブルーノ・カタラ&セルジュ・ラジェのコンビの期待の新作ボードゲーム「戦時」がいよいよ発売になった。

このゲームの舞台は、日本の戦国時代。プレイヤーは各地に割拠する戦国大名となり、「将軍」の座を目指して覇権を争うことになる。

という感じで、見た目は「歴史シュミレーションゲーム」の雰囲気だが、そこはカタラ&ラジェのコンビ。実際には実在の武将データなど全く使用していない、日本の戦国時代のテイストを用いた「外交戦略ゲーム」で、日本史の知識など全くないヨーロッパのプレイヤーでも十分に楽しめる作りになっている。

まず、このゲームの目的は、日本全土を平らげることではなく、「将軍」になること。この将軍になるためには、ゲーム中に獲得する「名誉ポイント」を60点貯めなければならない。この名誉ポイントは、主に
・軍事(戦闘で勝利する)
・外交(外交カードのやりくり)
・交易(花札カードで役を作る)

ことによって獲得できる。

そして、このゲームのポイントはミカド(帝)外交交渉

ゲームの設定では、この時代ミカドと貴族の権威は失墜しているため、ミカド自身が最も力のある大名の庇護を受けながら生活していることになっている。このゲームは1ラウンドが1年間に設定されていて、毎年の年始に、その時点で最も獲得名誉ポイントの多い大名(将軍に最も近い大名)の元へミカドがやってくる。ミカドを庇護している大名は、ミカドの名の元に各ターンのプレイ順を決定することができ、これが大きく戦略を左右する。

そして、もう1つのポイントの外交交渉。毎ラウンドの最初に、4分間の交渉タイムが設定されていて、この間にプレイヤー同士で戦略の確認や同盟締結、同盟破棄などの交渉を秘密裏に行うことができる。この辺は「ディプロマシー」と一緒だが、このゲームでは交渉の証として「外交カード」なるものが用意されている。
 外交カード裏面。Senjiがすべて「時戦」と表記されているのもご愛敬。 
この外交カードには、
・人質カード(不可侵条約の証。人質を差し出している相手を攻めると人質が処刑され、名誉ポイントが下がる。自分の祖父、祖母、父、母、子供の5種類がある。)
・援軍カード(他国の援軍カードを使用すると、戦闘時にプラス修正が期待できる。)
・交易カード(ラウンドの終了前に、花札カードを渡す約束のカード。)
の3種類があり、外交交渉中に秘密裏に外交カードが飛び交うことになる。もちろんカードの交換なしでの同盟もできるが、このゲームは裏切りのゲームでもあるので、証は是非とも入手したいところだ。

プレイヤーがプレイする大名には、特に名前はなく、色と家紋で識別することになる。以下が、このゲームの舞台となる日本列島を示したゲームボード。

上の地図の通り、日本列島を大まかに18の地域に分けて、それぞれの地域を支配していくことになる。ものすごくアバウトな地域分けと、京(ミヤコ)に攻めのぼるという概念がないので、最初の支配地による有利不利が少ないのも好感が持てる。
また、各大名は基本的には隣国にしか攻め込めないが、海に面した地域の場合、いきなり海上から攻められることもあるので要注意だ。

また、各大名はサムライを雇うことができる。このサムライは、それぞれ名前と特殊能力を持っていて、ゲーム開始時に1人ずつ所有した状態でスタートし、ゲーム中も花札カードの役次第で追加で雇うこともできる。サムライの能力は、軍事的能力、経済的能力、外交的能力いずれかに特化しており、使いどころによっては有利にゲームの展開ができる。もちろん、所有しているだけでサムライが参戦した戦闘は有利になるが、戦闘に負けるとサムライは自決していまうので使いどころも注意が必要だ。ちなみに、サムライはランダムに配られた3人の中から1つを選ぶ方法が採用されているので、この選択方法も重要なポイントだ。

そして花札カード。このゲームでは「花札カード」を集めることを経済手段としている。花札カードは、各プレイヤーがゲーム開始時に4枚ずつ所有していて、ゲーム中に「生産命令」の実行や、外交の「交易カード」の使用によって集めることができる。花札の決められた「役」を作ることによって、名誉ポイントの獲得や、「サムライ」を新たに雇うことができるのだ。花札カードの収集して役をつくることも、将軍へ近づく1つの手段となる。
 この組み合わせは動物4種の役。8ポイントを獲得できる。

1つのラウンド(1年間)の手順は以下の通り
1.年始 = ミカドを庇護する大名を決定
2.冬フェイズ = 4分間の外交交渉タイム
3.春フェイズ = 命令の決定(各大名が自分の支配する地域に、命令トークンを裏向きに配置する。)
4.夏フェイズ = 命令の実行(各大名が、ミカドを庇護している大名の決めた順番に命令トークンを表向きにして、その命令を実行する。この時に移動(戦闘)、生産(花札)、徴兵(兵力の補充)をする。)
5.秋フェイズ = 交易とその他の解決(各大名が、ミカドを庇護している大名に決めた順番に、外交カードの返却、交易カードの使用、花札カードのポイント変換などをする。)

 左図は春フェイズ終了時の例。海上にいる軍隊が不気味だ。

戦略は大まかに分けて、
・他国の援軍カードの入手を背景に、軍事力でポイントを獲得する。
・他国から交易カードを入手して、花札の役(経済力)でポイントを獲得する。
・他国から出来るだけ多く外交カードを入手し、使用せずに返却してポイントを獲得する。
・最初からミカドを庇護し、他国のプレイ順を操作しながら自分の有利になるようにゲームを進める。

の4種類。ある時は複合でポイント獲得を狙い、またある時は有利なプレイ順にしてもらえるようにミカドを保護している大名にヨイショすることも必要となる。いずれにしても外交交渉ゲームなので、単独で勝利することは難しく、リードしていれば容赦なくつぶされる。同盟と裏切りのバランスがポイントだ。

日本の城をかたどった城砦駒、18種類のサムライカードとフィギュア、大量のカウンター類、200枚近いカード類、各大名の家紋が入った9個の6面体ダイス、そして4分計の砂時計といった豪華な内容物も魅力。

ヨーロッパから逆輸入された、同盟と裏切り満載の、外交交渉と戦略が同居した新しい戦国・国盗りゲームを、是非とも楽しんで欲しい。

プレイ人数:3~6人
プレイ時間:約90分
発売元:Asmodee Editions
ゲームデザイン:Bruno Cathala、Serge Laget
価格:9,000円+税 日本語訳ルール、サムライカード和訳シール付き

私的ゲーム評価
ルール難易度 :中 (覚えることはある程度あるが、複雑ではない。)
戦略性     :高 (将軍への近道は外交を制すること。同盟と裏切りのタイミングを見極めろ。)
運        :中 (戦闘はダイスで解決だが、戦略によってある程度まで操作可能。)
コンポーネント :良 (大量のフィギュアや駒やカード類は、見ているだけでもワクワク。花札の概念もおもしろい。)
言語依存度 :低 (サムライカードのテキストが英文。和訳シールが付いているので使用することで解決できる。)

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