D&D公式カードゲーム「スリードラゴン・アンティ」


スリードラゴン・アンティ、「ダンジョンズ&ドラゴンズの世界の、酒場やカジノでプレイされているカードゲーム」という設定で、D&Dの出版元であるウィザーズ・オブ・ザ・コースト社から発売された、「D&D公式カードゲーム」だ。キャラクターたちが「カジノ」でプレイしているくらいなので、大人向けのクールなゲームに違いないと思い、早速プレイしてみることにした。

このゲームの勝利条件は、最終的にゴールドを最も稼ぐことであるが、ゲームの進行自体は、各自のターンに自分の前に手札からドラゴンのカードを1枚ずつ出して、ドラゴンの編隊(Flight)を作っていき(編隊は普通カード3枚で完成)、全員3枚揃ったところで、左上の数字(カードの強度=Strength)の合計値の大きさを競うことが主目的である。自分の編隊の合計数値の大きいプレイヤーが、現在の場の賭け金(Stakes)を総取りできるというのが、このゲームの主な流れだ。

まずプレイヤー1人につき50ゴールド分のお金が必要で、これが開始時の各プレイヤーの持ち金(Hoard)になる。各プレイヤーは手札6枚でスタート。手札からアンティ(Ante=賭け札)を一斉に出して、そのカードの中で最も大きい数値分のゴールドを各プレイヤーは賭け金として場に払う。一番大きい数値のカードを出したプレイヤーが1回戦の親になり、親から順番にカードを1枚ずつ、自分の前に編隊を作るために置いていく。全員が1枚ずつ置きおわったら、1回戦で一番大きい数値のカードを出したプレイヤーが2回戦の親。同じ手順でカードを出して行き、一番大きい数値のカードを出したプレイヤーが3回戦の親になり、全員がカード3枚ずつのドラゴン編隊をつくると、一旦終了。3枚の合計値が一番大きいプレイヤーが、場の賭け金を総取りする。ここまでの一連をガンビット(麻雀の半荘みたいなもの)とよび、このガンビットをオケラのプレイヤーが出るまで繰り返していく。これが基本的なゲームの仕組み。

で、このゲームをプレイする上で、最も面白いところは、それぞれのカードはD&Dの世界で登場するドラゴンや、定命の存在(Mortal)のキャラクターがついていて、それぞれ特殊能力を持っている。やっぱり「ティアマト」や「バハムート」などの神のドラゴンは最強(?)で、善のドラゴンと悪のドラゴンはそれぞれそれっぽい能力を持っているし、「シーフ」とか「ドルイド」も個性的な能力を持っていて、単にカードの左上の数値だけでは展開が決まらないようになっている。また、カードの能力が発動するのは、親が出したカードと、出したカードの数値が直前のプレイヤーが出したカードの数値以下の場合だけ。なので、単に数字の大きいカードばかり出していても、いいとは限らない。ドラゴンの能力で、場の賭け金からゴールドを盗むのがあったりするので、一番強い編隊を作っても、総取りした賭け金がショボイ場合も結構ある。また、単色編隊(同一色のドラゴン3体で作る編隊)や同一強度編隊(同じ数値のドラゴン3体で作る編隊)などの役もあって、必ずしもガンビットで賭け金総取りをしなくても、ゴールドを稼ぐことができたりする。
ルールは簡単なので、カードの能力さえある程度頭に入れておけば、結構シリアスなゲーム展開が楽しめる。

で、プレイしてみた結果、自分がオケラになってゲーム終了。もともと苦戦気味のゲーム展開ではあったが、最後一発逆転狙いの戦略を、たった1枚の「レッドドラゴン」にすべて崩されてしまった。悪のドラゴン最強といわれる赤竜の能力、侮りがたし。

レッドドラゴンは、相手の手札をランダムに奪う能力を持っている

プレイ人数2-6人。プレイ時間約30分。

私的ゲーム評価
ルール難易度:易
(ルールは簡単。カードの能力さえ頭に入っていればOK)
戦略性:良(カードの能力の使いどころが肝心)
運:中(やっぱりカードの引きがショボイと・・・)
コンポーネント:優(カードの形状とイラストが雰囲気満点)
言語依存度:低(カードの能力は英語。ただし全部で20種類だけなので、日本語ルールでカバーできる)
背景世界再現度:満点(そのまま、D&Dのキャンペーンで使えるルールも付いている)

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