ウィ、パトロン!『怪盗紳士』


さて、まえにもちょろっと書いたけど、フランスでのゲームの流行と言うものの大きなファクターにオープンゲーム会があるとか。
カフェ文化があるからのでしょうが、娯楽としてオープンなゲーム会に遊びに行くスタイルがかなり定着しているとか。
確かに、フランス系ゲーム出版社・デザイナーの目指すところは軽めなゲームだったり、会話の余地があったり、運の要素が強めだったりと、ドイツやアメリカとも毛色が違っている感じ。

今回紹介するゲームも、同じように軽めですぐプレイで来て、コミニュケーションを取りながらプレイする要素がある、いくつもの準備を重ねてお宝を盗み出す、正体隠蔽型の……説明しにくいなぁ、ジャンル。正体隠匿型泥棒ゲーム?

怪盗紳士

です。


そのタイトルの通り、ルールブックのフランス語のほうは記述がありますが、プレイヤーはアルセーヌ・ルパン(赤)、カリオストロ伯爵夫人(紫)、ドロレス・ケッセルバッハ(緑)、ボーマニャン(灰)、グラン・ポール(ポール親分)(黄)らのいずれかとなり、巴里の街で盗みを働きます。
なお、英語ルールには誰が何色かの記述がないのは……英語圏では知名度が低いんだろうなぁ。

中身はこんな感じ。

ボードは無く、箱がボードであり、トークンの山札置場。こっている。
トークン類もカット済みで、耳ナシのえらくお金のかかった感じのモノ。
印刷も結構いいなこれ……
箱も小さめなので持ち運びも楽だし。

さて、この盗みもゲームの発売程ではありませんが準備や工程が必要でして、

手袋(指紋の捜査応用は19世紀末くらいから)
鉤縄
ランプ
マスク
聴診器(最近金庫の鍵開けシーンでも見かけなくなった気がする)

全5種がそろった現場で盗みが成立します。


最初はこんな感じで、5か所の現場に表向きの道具がランダムに2枚置かれ、館には抜け穴、美術館には錠前、銀行には戦利品を置きます。

では各プレイヤーはこの「盗みの準備」をどうするかと言いますと……

まず、チーム選択。
1)手番プレイヤーはキャラクターでチームわけをする
このとき、誰がどのキャラクターを受け持っているかわからないのがミソ。
必ずトークンは2:3に分けるのですが、5人プレイ以外だと、誰も受け持っていないキャラクターがいるのも大事な点。

2)先ほどの盗みの道具を、オープンになっている3枚から選ぶか、山札からひいて、現場に置くか、特殊トークンを移動させる
ただし、同じ種類のトークンは1つの現場に3個までしか置けません。


5種類そろったら、盗みの準備は完了し、盗みが発生しますが……


トークンの色で見て、多い方の勢力がそこにもともとあったお宝と、盗み道具としておいたトークン(裏がお宝なのだ)を山分けにします。

特殊トークンは4種類あって、ボーナス点的な戦利品トークン以外……たとえば抜け穴は現場2か所をつないでしまうので、2か所あわせて5種類の道具がそろってしまうと盗み成立となり、予定が大幅に狂う可能性があります。
錠前は道具がそろっても盗みが発生しないため、これまた予定が狂ってしまう場合があります。
自動車(19世紀末には市販されはじめた最新ガジェットですな)は、置かれた現場にある道具を錠前のある現場に移動させます。これまた予定が狂ってしまいます。

と、言った感じでうまいこと自分の分け前を得るために、いろいろ画策するワケ。

これを順番に、ベシュ刑事トークンが引かれるまで繰り返したるのち……
最終的にいちばんお金を貯めたキャラクターを受け持っていたプレイヤーが勝者となります。


なお、ベジェ刑事は最後の7枚中のどれかのため、いつゲームが終わるか不確定なのですが……


上の通り、ルールの通りの置き方だと縁の色でバレるので、以下の写真のように……


ここに重ねておく。これで縁の色でバレない。

プレイするとわかってくることなのですが、自分の手番でチーム分けをしてトークンを配置して山分けを獲得するよりは、ほかの人の手番で山分けにありついたほうが実は効率的。
いちばんダメなのは自分の手番で他人の山分けのトリガーを引くこと。効率悪し。
ばれないように行動するよりも、誰がどのキャラクターなのかを推理して、各現場の相場をコントロールし、効率よいプレイングを目指す方向のゲームで、正体を隠匿する必要性は、負けが込んでる時と勝ちすぎているときぐらい?
ある程度のなれあいも必要で、言語外コミニュケーションが結構必要かもしれない、ぼんやりとした感じの不思議な感覚のゲームです。
(正体隠匿型は全部そうかもしれませんが)。
うーむ。泥棒と言うよりも、正体隠匿型で、相場操作ゲーム?

怪盗紳士ルパンのテーマが気になる人はもちろんですが、手順も単純だしプレイ時間もさほどかからないので、軽めでインストも簡単なゲームをお探しの方には結構オススメです。

怪盗紳士(Gentlemen Thieves)
プレイ人数:2-5人
対象年齢:14歳以上
プレイ時間:約45分
製作:Bombyx
デザイン:カテリーヌ・デュマ、シャルル・シュヴァリエ、パスカル・ペレマン
価格:4,800円+税

あと来月早々に大モノの発表ができるかもしれぬ。