編集部の本棚
BACK NUMBER
 ホビージャパン編集部員のお薦めの本を紹介するこのコーナー。
最終回となる今回は本誌編集(祁)の紹介する1冊をお届けします。

最終回:機動戦士クロスボーン・ガンダム(1)
● 発売元:角川書店 ● 販売元:角川グループパブリッシング 567円、発売中
B6判 ● 原作富野由悠季 ● 漫画長谷川裕一
 そろそろ桜も咲こうかという別れの季節ですが、この「編集部の本棚」もいよいよ今月で最終回。最後は担当権限で私、(祁)が登板させていただくこととなりました。何を紹介したものか……と思い悩んでいたのですが、最後は私にとってある意味で「人生を決めてしまった」1冊、1シリーズについて記してこのコーナーを締めくらせていただこうと思います。
 私がこの会社に入社したのは昨年の4月。その1年ほど前に何度か入社試験があったのですが、慣れぬスーツに見知らぬ同世代、さらに目の前にはホビージャパンを支えるお偉方! という面接の状況に、私は人生でもかつてない程に緊張していました。何か言えば「はぁ0いるんだよねー、そういう勘違いしちゃってる素人ってさ」とでも言われてしまうのではないかと疑心暗鬼に陥りそうになりながら、私は必死で面接官の質問に答えていました。そんな最中、星野編集制作局長からこんな質問が。

「一番好きなガンダムは何ですか?」

 私はいかに『クロスボーン・ガンダム』シリーズが好きかを語りました。「人間はどこまで“人間”なんだろう」と考えさせられるテーマ性や、敵味方の誰にでも感情移入できてしまう生き生きとしたキャラクター造形、これでもかと隠し武器を使うメカアクション、トビアが『鋼鉄の七人』でクロスボーン・ガンダムX1 フルクロスを前に決意を新たにするシーンのアツさ……星野局長のにこやかな相槌に促され、就活が無事に終わったら作ろうと、部屋の一番見やすい位置にマスターグレードのクロスボーン・ガンダムX1 フルクロスを箱に入れたまま飾っているんだと話したあたりで流石に我に返りました。
 結果的に私はこの会社に入社し、自分が読んでいたホビージャパンの編集に携わっています。不況だ、就職難だと言われる今日この頃、素敵な縁を作ってくれたこの作品に、私はどれほど感謝しても足りません。この作品を人生の訓とし、トビアたちのように最後まで諦めない人間でありたいと強く思う次第です。

 皆さんもそんな素敵な1冊との出会いがあるようにと新宿の片隅から願いまして、このコーナーを終わらせたいと思います。ご愛読、誠にありがとうございました!
(月刊ホビージャパン2010年5月号掲載分)