ノイエン:うっす!萌黄の歌姫ノイエンであります!「アーカイアの車窓から」第4回は、武の国シュピルドーゼをからお届けいたしますです。ゲストには剣の腕も立つ歌姫、ブリギットをお迎えして、首府シュピルディムからお送りします。 よろしくおねがいしまっす!ビシッ。
ブリギット:はっ、よろしくおねがいする、ノイエン殿。だが、ノイエン殿がそのような軍隊言葉で話さなくてもよいのではないか?
ノイエン:そうでありますか?じゃ、言葉に甘えてふつーにいきますね。だけどこういうのって、かわいくやるとウケるんですよ。だからブリギットさんて人気あるんだもの。
ブリギット:人気?い、いや、私は剣や戦闘にはすこしは自負があるが、歌は歌姫というにはアレだし、に、人気だなんて・・・。そ、それより我が国シュピルドーゼをご案内しなくては。
ノイエン:了解です!首府のシュピルディムは厚めの石で四角く組まれた建物が多い「質実剛健」を絵に描いたような立派な都市です。それも街路や町の中にある広場などはものすごく広くて、そのためか町自体もとっても広いですよ。
ブリギット:そう。我が国はアーカイアの平安を守るため、歌姫大戦での絶対奏甲の有効性を忘れずにいる。機奏英雄がいなくなっても、またいつの日かアーカイアが危機に見舞われ、我がシュピルドーゼが本領を発揮する事態になれば、再び母姫様は英雄を召喚され、絶対奏甲とそれをサポートする力が必要になると考えているのだ。
ノイエン:なるほど。それはやっぱり西にインゼクテンバルトがあるから?
ブリギット:そのとおり。インゼクテンバルトを西に見据え、いざという時に最も絶対奏甲が必要とされるであろう場所として、シュピルディムは市街地でも絶対奏甲を運用し、支援できるスペースが整えられているのだ。
ノイエン:対奇声蟲絶対迎撃都市、ってとこですね!だけど城塞都市としても名高いフェアマインのような城壁がないのはなぜですか?
ブリギット:クモ型の巨大モンスターである奇声蟲が相手の場合、城壁があってもよほど高く、壁面を磨いたりでもしなければ易々と登られてしまう。逆に飛行能力を持たないほとんどの絶対奏甲にとっては移動の邪魔になるのだ。だからシュピルディムには城のような防壁は設けていない。 それに代わり防衛線に利用できるよう、建物を建てるには一定の強度で作ることが義務付けられている。もちろん、その間で絶対奏甲が迎え撃てるような空間を確保することも同様だ。
ノイエン:うーん、難しい・・・。フェアマインに住んでいる人たちの生活も、戦いに備えることが求められるんですか。
ブリギット:もちろんだ。このようにアーカイアを守るために国民皆兵で備えていることが我が国の誇りでもある。
ノイエン:なるほど。しっかりしているんですね。ほかにシュピルドーゼの見所というとシュバルツ・カップがありますけど、どっちかと言うと国外からの旅行者が多いんですか?
ブリギット:そうだな。国内には観光地というべき場所はあまりない。すぐ南に行けばリゾート国家のハルフェアもある。旅行ではそちらに行く方が多いだろう。 シュヴァルツ・カップも、巨体だが可愛い海の生き物が見られるので他国の観光者には人気のスポットだが、気の浮かれた観光目的の人々にうろうろされてもいい気分ではないしな。
ノイエン:シュピルドーゼの人たちはあんまりいかない?
ブリギット:いや、シュピルドーゼの民にも願い事はあるから、ほとんどの者は一度は行くだろう。
ノイエン:そっか、なるほど。ブリギットさんも行ったんですよね。どんな願い事をしたんですか?かないました?
ブリギット:えっ!?願い事?あ、いや、そ、それは・・・その・・・。
ノイエン:歌姫になれますように、とか?
ブリギット:ち、近いが・・・。
ノイエン:なにっなにっ?な、ん、て、お願いしたんですかっ!
ブリギット:え、その、歌姫になったら・・・。
ノイエン:なったら?
ブリギット:歌姫になったら・・・な機奏英雄と・・・。
ノイエン:どんな機奏英雄となんですか!?
ブリギット:す、ステキな機奏英雄と出会えますようにっ、て・・・。
ノイエン:きゃぁ〜っ、ブリギットさん、かあいいっ〜っ。 おっと、これで時間になってしまいました。今日はかっぁわいいブリギットさんをお迎えして、武の国シュピルドーゼの首府、シュピルディムからお送りしましたぁ。 ありがとうございました。ブリギットさんっ。
ブリギット:あ、わたし・・・、の、ノイエンっ!言うに事欠いて・・・
ノイエン:わぁ、おぉおちついてぇ。次回は商いの国「ファゴッツ」からお送りしますぅ。そいじゃ、そいじゃこれでっ、じゃ!
ブリギット:まてっ、ノイエン!
ノイエン:ではでは、みなさんまたねぇ〜っ。

§ シュピルドーゼ

地図
トロンメルに次ぐ領土を誇る大国。統治者はデュミナス女王。
領土内に石や金属の豊富な鉱脈を持ち、それにふさわしい加工技術を基盤にもつ産業国で、その国力を軍事力に大きく裂いている。南の対岸にリゾート地でもあるハルフェアを望む湾岸地域は、気候のよさもあって穀倉地帯となっており、広大な国土とそこに住む人々のまかないとなっている。
当然、軍事力では絶対奏甲を除いてもアーカイア随一であり、国民皆兵で質実剛健な国ではあるが、だからといって領土拡張に走っているわけではない。支配者層はそれなりに思うところがあるようだが、最高評議会との関係や、唯一地続きで接するトロンメル領との国境には「蟲の森(インゼクテンバルト)」が横たわっているため地理的にも侵攻がしずらいこと、国民は強くあろうと志していても他国を支配することを志向していないことなどにより、歌姫大戦以前からの国境線は変化していない。
国内で要所というと幻糸鉱山とシュヴァルツ・カップだが、幻糸鉱山は一般に知られた場所ではなく、シュピルドーゼ支配者層と、それを活かす技術をもつ黄金の工房との間で共同の秘所となっている。
幻糸鉱山で産出する幻糸の結晶は、その純度と硬度によってはそのまま絶対奏甲の骨格に組み込んだり、量が満たせればアークドライブのコアに据えたりできるほどのもので、実情としては技術さえあれば自国でアークドライブを含めた絶対奏甲の開発・生産が出来るまでもう一歩という状態にある。
だが、幻糸鉱山の掘り進んだ先に巨大な魔物がいるとの話が何年も言われており、実際に数年に一度くらいの頻度で、鉱員達が何者かに襲われる被害も出ている。被害が出ても捕獲・撃退などはされたことがなく、いなくなったら採掘を再開するという繰り返しである。言うまでもなくその生態はわかっていない。
シュピルドーゼが絶対奏甲の自国建造への「もう一歩」を黄金の工房に求めなかったのは、絶対奏甲を建造しても機奏英雄がいなければ運用できなかったためである。また工房からの依頼で大型製品(アークドライブの外部フレームや絶対奏甲の外装・装備など)を建造することで貿易となっていることもあり、無理を強いて工房から情報を引き出すこともはばかられるということもあった。

一方のシュヴァルツ・カップは、アーカイアで一般的に知られた「南海の美しい岬」である。リゾート地であるハルフェアを訪れる際にルートに組み込む旅行者は数多く、陸路をにしろ蟲の森をさけて海路を来るにしてもわざわざはずすことはしない。だが、この岬の近海に船を乗り入れることは禁止されており、生態を含め環境保護もなされている。
なお、北の海上には翼風諸島があるが、世界の果てとまで言われるこの諸島はシュピルドーゼの統治下にあるわけではない。
地続きな土地がトロンメルとしか接していないため、それを避けるルートとして海上輸送も力が入っている。これはアーカイアで自国と並ぶ大国相手の政治の駆け引きに関わる面と、すでに述べた蟲の森を避けるルート、というふたつの理由による。このことは、いうまでもなく民間・軍事両面のことであり、水軍はトロンメル、ヴァッサァマインなどの他国に引けを取らない規模の艦隊が編成されている。

シュピルドーゼ出身の歌姫にはブリギット、カノーネがおり、その国民皆兵の気風を体現している。共通するマントの前側には意匠として国章が大きく入っている。このマントは国から授与されるもので歌姫だけが身に付ける装束ではないが、歌姫に与えられる色があるため一目でわかるようになっている。
とはいえ、より上位の階位で与えられたマントを身に付けるため、歌姫であっても歌姫のマントを必ず着ているとは限らない。