ノイエン:はいはーい、ノイエンですっ。今回の「アーカイアの車窓から」は、トロンメルの中心都市、麗しの都エタファから、ゲストはクアリッタでお送りします。
クアリッタ:瑠璃の歌姫クアリッタです。こんにちは、みなさん。
ノイエン:エタファは、押しも押されぬアーカイア最大の都市だけど、紹介しきれる?
クアリッタ:個別の地区などを逐一紹介するとなれば大変ですけど、街の機能という面からの紹介であれば大丈夫でしょう。規模が大きいだけで人の生活に必要なことというのは、ほかの街とそれほど違いませんから。
ノイエン:なるほどなるほど。じゃ最初は、アーカイア西海岸で最大級の港についてかな。
クアリッタ:そうですね。エタファの港湾施設は貨客のための停泊に留まらず、造船施設も含めると、東岸4大貿易港にも負けない規模を誇ります。
ノイエン:トロンメル国内の港としては、トラバンデンシュタットも大きいけど、造船はしていないものね。
クアリッタ:東海岸のヴェステェンデには造船ドックがありますよ。そうはいいましても、規模としてはこのエタファがはるかに大きいです。
ノイエン:内海に面したところだから、波が穏やかなのも、港には利点だよね。
クアリッタ:ええ。造船でも作業がしやすいですし、貨客でも同様です。
ノイエン:ポザネオ市との行き来が多いんだよね。
クアリッタ:ポザネオ市は、衣食住に関する用品の大部分をこの港からの輸送に頼っていますから。その取り引きも、エタファで行われます。実際の物資を集めて売買するのは、トラバンデンシュタットの大市場の方が主ですが、取り引き手続きの件数ではエタファの方が圧倒的に多いです。
ノイエン:さすが大国の都。市街地はどうなんでしょ?
クアリッタ:町の広さから言えば整備も行き届いています。治安も十分、守られています。とはいえこれだけの大都市ともなると、いかがわしい路地や、危険な街区などもあります。お気をつけくださいね。
ノイエン:にぎやかな大通りも、何本もあるね。
クアリッタ:ええ。東西に横断している繁華街が三本、それらを結びつける南北に通った一本の、四つの通りが町の中で最も太い道ですね。それ以外にも、町の広さに応じてにぎやかな通りに、住むのに向いた街区も沢山ありますよ。
ノイエン:北寄りに大きな建物が多い気がするけど?
クアリッタ:たしかにそうです。街の南寄りは、大桟橋や造船施設があることもあり、人も多く、にぎやかで庶民的な街区です。
緑が多い北寄りの地区は屋敷街になっていまして、静かなたたずまいの場所となっています。女王ゼロッテさまも、この地区に邸宅を構えてらっしゃいます。
この屋敷町に限らず、主要な市街地は建築につかう石が決まっていて、白い石で統一されていますから、とても整った景観を備えています。これはポザネオ市とほぼ同様で、姉妹都市だと言われなくても、わかるほどです。
ノイエン:ポザネオ島との行き来を別にしても、さらに四方から大街道の接続点となっているから、人も物も溢れ返るくらい多いね。
クアリッタ:エタファがあるから街道の集結点となり、集結点であるから都市として大きくなるのは、両方でしょう。特にポザネオに渡る人は全国津々浦々からいらっしゃいますし、例外なくエタファからポザネオ島に渡りますから、ひと気がないエタファというのは考えられません。
ノイエン:そういう旅行者向けの宿や用品を扱う商店なども沢山ある?
クアリッタ:ええ、もちろん。市場にいけば、生ものは難しいかもしれないですが、アーカイア全国の、ほとんどの物産を買い求めることができるでしょう。ないのはルリルラの温泉の湯くらい、と言われるほどです。
ノイエン:そ。持ち出し禁止だからね。
クアリッタ:娯楽施設は多いのですけど、温泉はないんです。お風呂はそれなりの宿泊施設にはあるのですけど。
ノイエン:温泉は地理的なものだからしょうがないでしょ。だからみんな、ハルフェアへ湯治にいこう!
クアリッタ:今回はトロンメルのお話でしょう?
ノイエン:いや、もう時間だし、次回は締めでルリルラだしさ。 というところで、今回はここまで。ではでは。
クアリッタ:ごきげんよう、みなさん。

§ エタファ(トロンメル)

地図
アーカイア最大の国家、トロンメルの首都。世界最大の都市で、人口、市街地の広さ、施設の充実などにおいて類を見ない大都会である。対岸のポザネオ市に負けず劣らず、石造りの市街整備、上下水道の整備、都市計画に沿った街路の敷設など、時々の先端技術が投入されている。
これには、ゼロッテ女王の頂点とする国が示す政策の正当さ、ポザネオ市や最高評議会と関係が密であることなどが手伝い、整備や再開発などが適切に実施、継続され、常にエタファという都市を維持していることが大きい。
市街地の水、植物の少なさ、やや高い物価、人々の階層や地区ごとの治安といったものの格差など、大都市であるがゆえの問題はあるものの、生活は便利で、仕事の口も多く、若年層をひきつける要素にこと欠くことはない。

港湾施設は、造船設備も完備された大規模なもので、関わる人も多い。そう頻繁に大型船が建造されるわけではないが、トロンメル所属の船舶全般について、国内の他の港ではできない大規模点検や整備を一手に引き受けるため、ドックが空いている時間は少ない。また商売として、ヴァッサァマイン以外の船舶であれば修繕も引き受ける。造船技術の確実さは折り紙つきであるので、年に一度といった点検・修繕を、わざわざ東側から航海してきてエタファで行う船もある位である。

女王が座す政(まつりごと)の中心でもある。これは一般庶民の生活に関することにとどまらず、トロンメルという国全体、そして軍事の中枢であることも意味する。
中心部には官庁街があるし、郊外にはトロンメル軍の本部施設があり、港も軍用の船舶が停泊する位置が常に確保されている。長い間、実効した事はないが、造船施設の利用も有事の際の優先権は国、及び軍の船舶にある。また、一般には公開されていない施設などもある。
このような政治と軍事の色は、商取引と庶民生活が中心となっているトラバンデンシュタットと好対照をなしている。

位置的には、西対岸にポザネオ、そして他の方角からはそれぞれ主要街道が結びつく、アーカイアの交通の大集結点である。
アーカイアを南北に旅をするのには、ヴェステェンデ−ファルベ−ゼンタルフェルドシュタットを経由しても可能ではあるが、急ぎでない限り、ほとんどの旅人はエタファを経由する。これはエタファが麗しの都と称される魅力的な都市であることに留まらず、人、モノ、情報の集積地点であることも、旅を続ける上で重要だからである。もちろん、立ち寄るだけのつもりで居ついてしまう人も、この街の人口増加に一役買っているのは言うまでもない。