GAME JAPAN 特選ゲーム 「ファイアー&アクス」


時は8世紀。西ローマ帝国が崩壊し、暗黒時代を迎えたヨーロッパは、スカンジナビア半島から来襲した武装船団たちに侵略されていった。彼らの船は「ロングシップ」と呼ばれ、浅瀬や川も航海可能で、卓越した航海技術と合わせて、時には内陸地にまで襲撃するなど、まさに神出鬼没であった。バイキングと呼ばれた彼らは、その後約300年もの間、各地で交易・略奪を繰り返し、ヨーロッパの各都市を越冬基地として植民地化して行った。

このバイキングたちの活躍をテーマにしたマルチプレイボードゲームが、「ファイアー&アクス(Fire &Axe: A Viking Saga)」だ。

まず、このゲーム、箱がちょっと大きめで、しかも重い。箱を開けてみると圧巻の300パーツを超える豪華コンポーネントだ。ルールブックもちょっと厚めの16ページで、ヘビーなゲームっぽい第1印象。ただし、ルールを読み進めていくとわかるが、非常に整備されたルールで、理解しやすい。歴史的背景も絶妙に再現しながら、パーティゲームとして十分に楽しめるボードゲームだ。

約52cm×67cmという大き目のゲームボードに加えて総パーツ数300以上の圧巻のコンポーネントだ

ファイヤー&アクス ゲームの概略
時代は8世紀半ば。プレイヤーそれぞれはバイキングになって、ヨーロッパ征服を目指してスカンジナビア半島から旅立つ。

ゲームのスタート地点は彼らの故郷スカンジナビア半島。ここで自分のロングシップに、乗組員や交易品(毛皮や牙)を乗せて、母港(ノルウェー、スウェーデン、デンマークのいずれか)から、旅立っていく。
バイキングたちは、まずヨーロッパの各都市に交易品を売って金を稼ぐ(第1段階)。ある程度品物が出回ると、主要都市を襲撃して略奪する(第2段階)。そして、最終的には、その略奪した都市への移民を開始する(第3段階)。交易・襲撃・移民の3段階それぞれによって勝利ポイントを獲得し、最高得点を得たバイキングが勝利者になる。

プレイヤーの1ターンは1週間(7日間)を表し、1日にできることは、
・乗組員1人か交易品1つをロングシップに乗せること
・ロングシップを1マス移動すること
・ルーンカードを1枚引くこと

だけ。船に荷物を満載にしようとすればそれだけで1週間は終わり。遠い場所に行こうとすれば、移動だけで自分のターンは終わり。という風に、時間は有効活用しなければならない。

交易・襲撃・移民といった行動は、可能な港に入っていれば、自分のターン中に日数を使用せずに実行できる。襲撃・移民といった戦闘行為の解決も、ダイスを振ってその都市の価値と比べるだけなので、非常にわかりやすい。この襲撃や移民に失敗すると乗組員が犠牲になり、乗組員全員が死亡すると、船はスカンジナビアへ強制送還される。

このゲームは、時代を第Ⅰサーガ、第Ⅱサーガ、第Ⅲサーガという3つの時代に分けていて、ゲームの進行ごとに時代を進めていく。この時代は「サーガ」カードで表示され、このカードに交易・襲撃・移民をする都市が指定されていて、この任務を達成するとそのカードを受け取り、ゲーム終了時のボーナスポイントを獲得できる。第Ⅰサーガのころはイングランドバルト海沿岸の都市の征服が指定されているが、時代が進むと、地中海沿岸グリーンランド、挙句の果てはアメリカ大陸北東部といった遠隔地の征服が使命となる。

また、プレイヤーは「ルーン」というカードを手札に持つことができ、これを自分のターンに使用することで、ダイスの目を修正や、他人の船の航海を妨害するなどの、様々な効果を使うことができる。

このゲームではヨーロッパの海域を大きく4つ(バルト海・大西洋・地中海・北極海)に分けていて、海域ごとに1週間のうちロングシップが航海可能な日数が決められている。(海の荒れ方の概念で、地中海だと1週間のうち6日間、北極海だと3日間だけ安全に航海できる。)この日数を超えて航海をすると、リスクを侵す航海として、乗組員や交易品が延長日数に比例して海に飲み込まれてしまう。

こうして、時代ごとにスカンジナビア~欧州各都市を往復しながら自分の勢力を拡げて行くゲームだ。

ゲームの駒は、ロングシップ、乗組員、都市ともフィギュアになっていて雰囲気も楽しめる。必ずスカンジナビアへ帰らなければならないバイキングの事情や、なかなか陥落しないパリローマコンスタンチノープルの3大都市や、犠牲を伴わずには航海できない北極海など、時代背景の再現も絶妙。
ゲーム自体はボリュームたっぷりだが、ルールは簡潔で非常によく整備されていて、ボードゲーム初心者でも十分楽しめる。歴史の知識がなくても、パーティゲームとして遊べる秀作だ。

プレイ人数:3-5人
プレイ時間:約60分~120分
(4人で大体90分くらい)

私的ゲーム評価
ルール難易度 :易 (難易度は見た目よりずっと簡単)
戦略性     :高 (ルールが易しい分、戦略が勝敗を左右する)
運        :高 (確率1/6の大都市攻略はダイス運がカギ)
コンポーネント :優 (全パーツ数300超の超豪華コンポーネント)
テーマ再現度 :優 (荒すぎず、細かすぎずのちょうどよい具合)
言語依存度 :中 (ルーンカードに英文テキストあり=日本語訳ルールにカードの訳はついています)

※今回入荷の商品は英語版(日本語訳ルール付き)になります。